恋を知らない君に、僕が恋を教えよう。【無性愛者と幼馴染の恋物語】IV

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ベッドに入っても、なかなか寝付けなかった。重のことが気になって気になって仕方なくて。









今すぐにでも、会おうと思えば会える距離にいるのに。話したければ話せるのに。会う勇気も話す勇気も無い俺。









もうそろそろ周りも気づき始めるやろうし、そうなると面倒。でも、今ある俺と重の間の隔たりを埋めることは、出来そうにない。









重とこんな関係になってもうたの、俺の責任もあると思う。勝手に焦って、イラついて、子供みたいに拗ねてたんかも。そんなアホな理由から、自分から遠ざかった。









でも、もとのきっかけは、重にあって。話しに来なくなったり、俺と目が合っても逸らせたり、遊びも断ったり。あからさまに避けられてた。









いくら考えても堂々巡り。なんとなくスマホを手に取り、カメラロールを開く。重との写真を一枚一枚。最近はあえて避けてたくらいの行動やねんけどな。









最近見てない俺の大好きな笑顔。いっぱいあった。びっくりした顔、拗ねた顔、イタズラしてる時の顔、変顔も、いっぱい。









俺しか知らない顔も。寝顔とか、泣いてる顔とか、真剣な顔とか。









本当は重のことが大好きで大切で仕方ないくせに。いつまでも重にとって特別な存在でありたいくせに。変な意地張って、バカみたいや。









それに、俺ばっかり、なんて思うてた。俺ばっかり重が好きで、重のこと考えてて、重に尽くしてると思うてた。でも、今日のオカンの言葉聞いて、重はいつも俺のこと考えてくれてたんやって初めて気づいた。









恋愛感情は無いけど、重は俺に愛情を与えてくれてたんや。









今日ののんちゃんは未遂で終わったからホンマに良かった。俺の中の僅かなブレーキが効いたのは、重の存在があったからやと思うねん。初めては、重がいいって、ずっと思うてたから。まぁ、実現しなさそうやけど。









それでも、無駄な意地より、そっちが勝ったから。なんか重のメッセージのタイミングも、あの後のこと、予兆してたみたいに思えてくる。ただの自惚れやけど。









でも、気づけてホンマに良かった。のんちゃんの強引な行動、重の不意の優しさ、そしてオカンの言葉で気づかされた。









俺がどれだけ重のことを想ってて、重も俺のことを想ってくれてるってこと。









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