security boy 2【小瀧望】

keep your hands ページ12

深い深い暗闇の中で
私は夢を見た


大きな背中に乗ってゆらゆらと


前からは大好きな人の声がする


「いっぱい食わされたなぁ」


少し嬉しそう


顔を見なくても
声の感じであなたの気持ちわかるようになったよ


…って言いたいのに声が出ない


代わりにぎゅっと力を込めて
あなたを包み込んだ


「A…苦しいけどあったかいわ」


ごめんね


でも離れていかないように


大好きな気持ちが伝わるように


大切に思ってることが伝わるように


また気持ちを込めてぎゅっとする


「心配せんでもちゃんと戻ってくるよ


約束したやん？」


覚えているよ


「ちゃんと守ったるから」


助けてくれてありがとう








前に感じていた温かみが消えて
寂しさに思わず手を伸ばす


「寂しがり屋さんになってもうて」


伸ばした先にあなたの右手を感じて


頭にあなたの左手を感じた


優しく撫でる感覚がとても心地良くて
もっともっと深いところへ落ちていきそうになる


「もう少しやから…な？」


おでこに柔らかくて暖かなものが触れた









「ずーっと、大好きやで」


優しくて柔らかくて甘ったるい声に


大きな温かい手で触れられて


私は暗闇の世界から幸福の世界へと
引き上げられたように思えた

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