security boy 2【小瀧望】

take her away ページ11

「だからさぁ…君のこともっと教えてよ…」


見つめる彼女の瞼がゆっくりと落ちて
そのまま頭を机に持たれかけた


「しげは君を一人にせえへんからなぁ


今日はラッキーやったわ」


すっかり返事をしなくなった彼女を他所に
スマホを開くと一つの通知


『しげも楽しそうに飲んどるわ』


神ちゃんから今日しげと飲んでもらうように
お願いした


隣でかすかな寝息をたてる彼女に興味を持ったから


しげは俺を近づけないように頑張っていたけど


「力不足やったなぁ…」


そうして残りのワインを飲み切り
彼女を抱えて店を出た


とりあえずホテルに行くか


長い階段を降りてホテル街に足を向けた時
後ろから誰かに引っ張られる感覚があった









「…誰や」


「返していただけますか？」


柔らかく笑う長身の男は
表情と違って右手に力を入れて俺の肩を痛めつけた


「Aさんとどういう関係かわからない人間に


お預けするわけにはいかんなぁ…名乗れ」


「小瀧、望と申します


同居人…とでも言っておきましょうか」


背中が軽くなったと思うと
力のなくなった彼女を男は抱いていた


「自分彼女大事ならちゃんと手綱握っとかな


家出して困らして何してたん」


「もちろん彼女の側にいましたよ


だからこうしてピンチに現れたじゃないですか」


男は計算通りといった様子で淡々と話す


「社長のお話も聞いてますよ


今度ハマちゃんと３人で飲むって


僕も参加したいな」


「…俺は会社の人間以外とは仲良くしないんでね」


「それは残念


ではもう会うことはなさそうですね」


売り言葉に買い言葉


冷酷に淡々と互いを探り脅し合う







「君と彼女ももう会えないかもね」


その言葉に彼はにっこり笑って
会釈をして去っていった


消えてしまった温もりと無くなった計画に
苛立ちを覚えスマホを手にした









「あぁ…ハマちゃん…









面白いの見つけたんやけど」

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