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( 赤 )
「 どうぞ、ほんま汚くてごめんなさい(笑) 」
青 「 ... ううん、お邪魔します、 」
どうして、俺の部屋に来たかったんやろか。
普通の人なら、そう思うはずやのに、
あの寂しそうな顔を見て、彼を離したらあかん気がした。
ていうか、ただ俺が、
一緒に居たかっただけなんやろうけど。
「 お茶、よかったら 」
青 「 ありがとうございます、 」
働き始めて1年目のとき、
自分のために買ったマグカップ。
そこまで高くもないし、
別に、むちゃくちゃ欲しかった訳でもなく
ただ毎日、夜に温かいもん飲むときに使ってて。
でも、1日頑張ってよかったなぁって、
のんびり過ごす、俺の中で結構好きな時間で。
まぁ、最近は、そんな時間取る余裕も、
今の俺にはなくなってしまったんやけどね。
散らかる部屋を見渡して、
心配そうな顔をしとった彼が、口を開いた。
青 「 ... 仕事、大変ですか？ 」
「 ... はい、毎日忙しくて、こんな感じに、 」
青 「 ...... っ、無理、してませんか、 」
こんな俺のことを、
心配してくれる優しい人。
「 ...... 正直きつくて、(笑)
もう辞めようって、思ってて、
でも、なかなか辞められないんです、っ 」
飛び降りようとしたときも、
絶望の中におる俺のこと、救ってくれた。
この人なら、俺の本当の気持ちを
わかってくれるんやないかって、そう思った。
青 「 ...... 抱きしめても、ええっ、？ 」
今まで我慢しとったこと、
ずっとずっと耐えてきたことが、
一気に崩れ落ちていくような感覚やった。
人に抱きしめられたのなんて、
いつぶりやろうか。
あったかくて、優しくて、
気づけば、涙が溢れ出して止まらんくなってた。
青 「 ...... いっぱい泣いてください、
あのとき、死なんでくれて、
ここまで生きてくれて、ありがとう、 」
「 ...... っ、ぅぅっ、 」
涙で目の前がぼやけて、
でも、藤井さんは、ふふって優しく笑ってた。
さっき、ロビーでしゃがみこんで、
呼吸を乱していた彼は何やったんやろう。
あのとき、彼は何に苦しんでたんやろうか。
自分のことは彼に伝えられたけど、
俺、彼のことはなにも知らない。
もっともっと、彼のことを知りたくなった。
もう、とっくに、
彼に恋をしている自分がいた。
fin
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作者名：aoi | 作成日時：2023年10月8日 22時
