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( 赤 )
次の日、同じ時間に屋上に行っても、
彼の姿は見当たらなかった。
まぁ、さすがに毎日は来てへんよな、って
ちょっと寂しく感じながらも
明日は居るかなって希望を持って帰ることに。
でも、その日を境に、
藤井さんは、屋上へ来なくなった。
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「 ...... ゎ、大丈夫ですか、 」
仕事帰り、疲れきってやっと辿り着いた
マンションのロビーに、人がしゃがみこんどって。
顔はよく見えへんけど、
男の人やってことだけはわかる。
全身真っ黒な服を纏っていたその人は、
酷く肩が上下していて、見ているだけで苦しくなる。
隣に座って、背中を優しく撫でると
ぴくんと反応して、顔を上げた。
「 っ、藤井さん、？ 」
このマンションで唯一、俺が知ってる人。
今、いちばん話したかった人。
「 俺、重岡です、大丈夫ですかっ、？ 」
青 「 ...... っ、はぁ、っ、は、 」
虚ろな目をしとって、
俺の言葉は、彼に届いてへんかった。
首にかかっとるネックレスの飾りを
ぎゅっと握りしめて、変な呼吸しとって。
とんとんって肩を優しく叩くと、
ようやく、ゆらゆらと揺れる視線の中で
俺の事を捉えてくれた。
青 「 ...... ごめんなさい、っ、 」
「 ううん、大丈夫です、立てますか？ 」
青 「 へへ、っ、もう平気です、 」
俺の顔を見たからなのか、
さっきまでの彼は、一瞬にしてどこかへ消えた。
もちろん、あれだけ苦しそうにしとったんやから
絶対に平気なわけあらへんし。
それに、どこか寂しげな表情をしとった。
「 心配でした、屋上来てくれへんから 」
青 「 ...... ぁの、っ、 」
「 ん？ 」
青 「 ...... 部屋、行ったらダメですか、っ、 」
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作者名：aoi | 作成日時：2023年10月8日 22時
