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｢お姫様！いけません、お部屋にお戻りください！｣
｢やだー！！！絶対やだ！！！｣
バタバタと何やら騒がしい廊下に顔をしかめ、翔は部屋のドアを開けた。
今智くんはお勉強の時間だからって言ってたけど…。
｢翔くん！｣
｢わ、智くん！？｣
ぎゅっと抱きつかれ何事かとおろおろしていると、後ろから教育係の女性が追いかけてくる。
何があったか悟ると、智を部屋に入れて鍵を閉めた。
｢ふー、危なかった〜｣
｢相変わらず勉強サボってんだね｣
｢だって、今日は俺の嫌いな数学なんだもん｣
｢美術と音楽と剣術だけはちゃんと受けるのにね｣
ドンドン！
｢お姫様、戻っていただかないとわたくしが怒られてしまいます！｣
｢やだ！美術にしてくれたら受けるもん！｣
翔の背中に隠れながら扉の外にいる教育係に向かって言う。
｢そんな…昨日も美術だったんですよ、そろそろちゃんとしたお勉強をしないと…｣
｢やだー！数字も漢字も嫌いだ！｣
だんだん背中に抱きつく腕の力が強くなるのを感じながら、翔はどちらの味方をしていいかわからずにいた。
｢…そうだ！｣
智は何かひらめいたようにドアを開け、あんなに嫌がってた教育係のもとに駆け寄った。
｢よかった…姫様、お勉強してくださる気になられました？｣
｢うん、翔くんも一緒なら！｣
｢え？俺？｣
｢翔くんと一緒じゃなきゃやらない！｣
突然自分の名前が出てきて戸惑う翔を見て、教育係がずしずしと部屋に入る。
翔の前に立ちはだかると、威圧的な目で言った。
｢受けてくださいますね？｣
｢…はい｣
断れるはずもなく、まあ智くんと一緒ならいいか…と思いながら割り切った。
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作者名：京
| 作成日時：2020年4月12日 22時
