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｢父ちゃんが言うなら…いいけど…｣
｢決まりだ。期限はそうだな…一ヵ月もあればいいだろう。松岡、その王子たちに部屋を与えろ｣
｢お言葉ですが王様、この農民の息子は城に受け入れるべきではありません｣
さきほど無礼を働いた和也の首根っこを掴んで言った。
和也は相変わらずむすっとした態度だ。
｢俺だってこんな城に住みたくないね。両親が村で待ってるんです。帰っていいっすか？｣
｢おまえ…それが王様に向かって使う態度か！｣
ゴッ、と鈍い音を発てて和也が床に倒れこんだ。
智はびくっと肩を震わせた。
松岡が人を殴る光景なんて、見たことなかったから。
｢松岡！やめろと言っている！｣
｢しかし…！｣
｢決めるのはお前じゃない、智だ｣
｢…すみません｣
落ち込む松岡を見て、ぎゅっと胸が痛んだ。
松にぃ、こんな一面もあるんだ…普段はお兄ちゃんみたいに優しいから、何も知らなかったけど。
｢和也と言ったな？勝手に城から抜け出すのは許さん。お前は智の婿になるためにここに来たのであろう？ならばしっかり目的を果たすんだ。それまでは故郷にも帰さん｣
和也は拳を握りしめて起き上がり、智を睨みつける。
怯えた智は思わず後ずさる。
帰ってもらったほうがよかったんじゃ…なんて思っても、もう遅いよね…。
こうして１人の姫と、４人の王子の同居生活が始まった。
｢松にぃ、おかわり｣
｢智は相変わらずカルボナーラだけはよく食べるな｣
｢うん、だって一番好きだもん！｣
いつも１人で取る食事。松にぃはお世話してくれるけど、一緒にご飯を食べたりはしない。
いつも俺と一緒にいて、ちゃんと食べてるのだろうか…？
今日から４人の王子たちも囲んで食事することになったが、智はいつものごとく松岡にべったり。
アプローチかけようにもなかなか話しかけられないでいた。
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作者名：京
| 作成日時：2020年4月12日 22時
