heroine① (ページ31)

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きゅっと襟元を掴んだら、余計に胸が苦しくなった。

俺なんかの村のこと心配して…走り回って、敵に捕まりそうになって…

そんな危険なことまでしたのに、俺には１ミリも興味ないの？

じゃあ、何のためにここまで来たんだよ。

｢…俺は、好きなのに｣

絶対お姫様となんか結婚しない、その思いとは裏腹に俺はどんどんこの人に引かれて行く。

今すぐこのシャツを引き裂いて、俺のものって証明したい。

｢…ん、｣

そんなことを考えていると、お姫様が目を覚ました。

｢カズ…｣

｢…おはよう｣

俺を見て、名前を呼んだ。

俺はまだシャツを握り締めたまま。

｢ここは…？｣

きょろきょろと部屋を見渡す智。

和也は何も言わない。

｢…カズ？｣

黙って見つめたままの和也を覗き込んだ。

その瞬間…

｢んっ！｣

ぐっとシャツを引っ張られると、そのまま自分の唇を智に押しあてた。

｢ん、んっ！｣

肩を掴んで引き離そうとしても、寝呆けた頭で力も出ない。

和也は徐々に深く口付ける。

うまく呼吸のできない智に気付きながらも、熱い舌を絡めより激しく、何度も何度も角度を変える。

｢は、ぁ…｣

うつろな目でされるがままの智を見て、シャツのボタンをゆっくり外し、そっと中に手を忍ばせる。

｢ぁ…や、め！｣

智がようやく目を覚まし危険を察知すると、和也の手首を掴み抵抗する。