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｢カズ、｣
｢ん？なに｣
遠くを見つめたまま智が声をかけてきた。
｢眠い｣
｢ああ、だったらそっちの部屋にベッドが…｣
｢おやすみ｣
そう言って俺の肩にこてんと頭を乗せた。
｢はっ？お、おい！｣
なんでここで寝る！？
お袋が来たらどうすんだよ！
｢…………｣
でも、気持ちよさそうに寝息をたてて眠るお姫様を見ていたら、全部がどうでもよくなった。
ただただ今こうしていることが、自分にとって癒しで、まどろみへと誘った。
｢…変なやつ｣
智を見つめながら、静かに目を閉じた。
一方、城では…
｢本当に申し訳ございません！私という者がいながら、お姫様を止めることができませんでした…｣
｢…………｣
王の前で這いつくばる松岡に、王はふん、と鼻息を鳴らした。
｢決して許されることでないのはわかっております。この身を持って償う覚悟です｣
｢松岡｣
｢はい｣
松岡はぎゅっと目を瞑った。
この場で切られるのか、今夜首吊りの刑か…どっちにしろ死ぬんだ。
今のうちにいさぎよく自分で胸を突いたほうがいいのかもしれない。
｢敵の正体がわかった｣
｢…え？｣
予想外の言葉に顔を上げる。
王は深刻な表情で言った。
｢今嵐王国では南の島の領土問題である国と争っているだろう。その国は？｣
｢た、確か…風王国では？｣
｢そうだ｣
｢ま、まさか風王国が？しかし現在城にはその国の王子が滞在しています。そんな危険に曝すような真似をするでしょうか…？｣
松岡が言うと、王はわかっている、という風に頷いた。
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作者名：京
| 作成日時：2020年4月12日 22時
