heroine① (ページ27)

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｢すごい…｣

今まで城に籠もっていた智にとって、一丸となって村を守っている様子に圧倒した。

城で火災など起きたことはないが、もし起きたとしても自分は城下を見下ろし部屋でうたた寝しているだろう。

そんな光景を見つめる智を見つめる和也。

意味もなくぼーっとしていると後ろから母親にどつかれた。

｢さっさと部屋に入れて差し上げなさい！！｣

こんな汚い部屋に？

仕方なしに智の腕を引いて古い実家に招いた。

走って疲れてるだろうし、少し休んでから城に帰るほうがいいだろう。

｢カズの家って小さくてお菓子の家みたいだね｣

｢食べんなよ。唯一の実家なんだから｣

｢そんなんするか！｣

智を座らせ温かいココアを入れてやる。

確かコーヒーは苦いからって飲まなかったはず。

｢ん｣

｢あ、ありがと｣

２人でじっとココアをすすっているとさっきまでの騒動はいったいなんだったのか、訳がわからなくなる。

結局敵は人間に危害を加えることはなかったようだし。

ただ町を荒らして終わった。何がしたかったのかさっぱりだ。

それにしても…

ちらっと横目に智を見る和也。

こいつ、なんで付いて来たんだろう。

俺に恩なんかないし、村との関わりもないんだろ？
だって国のお姫様だもん。

危険を覚悟で付いて来たとしても、普通ならそんなことはしない。

だとしたら、他に意味が？