heroine① (ページ24)

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何人もの召使いたちを振り切り外に出ると、そこには敵に襲撃されまいと兵士たちが戦闘体制を整えていた。

和也がどうやってそこを通り抜けようか迷っていると、後ろから腕を引っ張られる。

｢カズ、こっち！｣

｢え、おまえ何して…！？｣

｢いいから！早く親御さん助けないと！｣

裏庭のほうへ走り、草村を走り抜ける。

チクチクと葉の先が刺さりあちこち擦り剥いている。

ようやくの思いで城下町が見えると、緩やかな坂を下り農場が見えてくる。

｢はぁ、はぁ…｣

２人とも息が上がる。

ひたすら足を緩めず走ると、懐かしい景色が目に飛び込んできた。

｢…あそこだ！｣

指差した先には…

｢こ、これ…！？｣

思わず立ち止まる。

畑からは火があがり、作物は荒らされ…もはや農場の景色などそこにはなかった。

｢ひどい…｣

智はその光景に固まってしまう。
でも、和也の目的はそっちではない。

畑よりも先にある、あの小屋だ。

｢まずい、火が家に移りかけてる｣

｢えっ！？｣

そう言って、一目散に小屋目がけて駆け出した。

智も追おうとした、が…

｢あっ！！｣

地面に突出した石に足をかけ転んでしまう。

起き上がろうと顔をあげると、何やら金属製の靴が…

｢ひっ…｣

上まで見上げると、武器を持った敵国の兵士が。

｢…智！？｣

智がついてこないことに気が付くと、いつの間にか敵の兵士たちに囲まれていた。

マズい…！