heroine① (ページ20)

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事件が起こったのは、その数日後のことだった。

王子が来てから１週間が過ぎようとしていた。

｢姫様、全然俺らに興味持たないね｣

智が美術の勉強に励んでいる間、潤がぽつっと呟いた。

｢そう？毎日楽しく遊んでんじゃん！｣

｢そういうことじゃなくて！恋愛対象に見られてないことに気付けよ｣

確かに…と３人は思った。

遊び相手にはなってるけど、これじゃただの友達…下手したら保護者！？

｢友達と恋人の境界線てどこなんだろうね｣

翔が言う。

それを聞いた和也は、ニヤっと笑った。

｢みんな青いね。奪ったもん勝ちでしょ、こんなの｣

｢あ？お前だって同い年だろ｣

そう、智含め、みんな１４歳の同い年だ。

｢考えがってこと。あんなんちょっとヤってやりゃ一発で自分のモノにできますよ｣

｢はっ！？智くんはそんな子じゃないぞ！｣

翔が真っ先に反論する。

智くんをそんな目で見てたなんて…！

｢そう？結構受け入れた気がするけど｣

｢え？お前もうヤったの？｣

潤が目を丸くして聞いた。

｢さあね。とにかく、ぼーっとしてるとすぐ取られちゃうよ。ああいう子は一度ハマると抜けられなさそうだし｣

和也の言葉にドキッとする。

３人はあくまで本気だ。絶対智を自分のモノにしたい、そういう欲望が渦巻いている。

和也は本気じゃないから、そうやって余裕ぶったことが言えるんだ。

自分たちの気持ちなんか、わかるはずもない。