heroine① (ページ13)

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風呂から上がって、気絶したカズはそのまま夕食も取らず意識が戻らなかった。

松にぃはちゃんとツボをわかってるから、おかしなヘマはしないのは承知してる。

でもなんでかわからないけど、カズのことが気になってしょうがないんだ。

松にぃに止められてたけど、様子が見たくて養護室まで来てしまった。

カズは寝息をたてて気持ちよさそうに眠っている。

明日にはいつも通り一緒に朝食を取れそうだ。

｢おやすみ｣

智は寝顔を見て満足したのか、毛布を掛けなおし部屋を出た。

『…なんだあいつ、夜這いでもしに来たのかと思った』

和也はひそかに目を開けて智が出て行くのを見守った。

智はあくびをしながらパジャマ姿で自室へ戻る途中、人影を見つけた。

…松にぃ！？

いや、違う。松にぃのほうがもう少し背があるし…じゃあ誰だ？

智はびくびくしながら人影に近付く。

すると、そこにいたのは…

｢潤…くん？｣

なぜかくん付けしてしまった。

｢うわ、なんだ…智姫か｣

｢どうしたの、こんな時間に？｣

｢あ、いや…｣

気まずそうに目を反らす彼に？マークを浮かべる。

｢姫さ…見張りにバレず、外に行く方法知ってる？｣

｢えっ？｣

智が驚くと、潤はニヤリといたずらっぽく笑った。