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金曜日。結局飲み会の会場に着いたのは22時頃で、早く集まった暇人たちはすっかりへべれけ状態だった。
俺は終電には絶対に帰りたくて、時計を見ながらそわそわしていた。
「よし、0時！俺帰るわ」
「えーっ！！まだ飲もうよー！」
「やだよ、これ以上飲んだってお前ら潰れて介抱しなきゃならないじゃん」
「じゃあ櫻井ん家泊まらせてよ。一人暮らしなんんだろ？」
「バカ言うなよ。うるさくて泊まらせられるか」
「いいじゃん、たまには。就職してこうやって会える機会なんてなかなかないだろうし。こんな日くらい語りたいじゃん？」
「うーん」
そう言われるとまあ、その通りだなとも思う。
きっとこれから年を取るにつれみんな結婚して、会う機会も減って、こんな風に全員が集まれることもないだろう。
「俺らだけで行こうよ。櫻井がよければ」
「いぇーい、翔くん家だぁー！」
「わかったよ、まあ４人くらいだからいいか…」
結局一番仲良くしてた俺含めた男女４人で宅飲みすることになった。
角部屋で鉄筋とはいえ隣には智くんがいるから、あまりうるさくしては迷惑だ。
そういえば智くん、怒らせたままだけどどうしているだろうか。
連絡先を交換しているわけでもないから、本当にタイミングが合わないとなかなかアパートでも会えない。
謝る、といってもいったい何を謝ればいいのかもわからないし。
また落ち着いたら話してくれるようになるかもしれない。
少し時間を置いておこう。
「じゃあそこの青い屋根のアパートだから。205ね」
「おっけー、また後で！」
二人がコンビニで買い出しをしてくれると言うので、先に女友達と部屋へ向かうことにした。
それはいいのだが、こいつがすでに出来上がっていて、連れていくのにも一苦労だった。
「あー、階段無理〜のぼれなーい。おぶってー」
「お前こんなとこで…ちゃんとしろって」
階段に手をついて崩れ落ちるもんだから、仕方なく手を引いてやった。
もうほとんど抱きつくみたいに俺に絡み付いてきて、部屋に入ってさっさと剥がしたいと思っていると、階段のほうから登ってくる音がした。
あいつらもう買ってきたのか、早いなーなんて思っていると、上がってきた人物がぴたりと足を止めた。
俺は何気なくそちらを見ると、その瞬間言葉を失った。
まずい。圧倒的にまずい。
智くんに、こんな姿を見られてしまったのだから。
絶対変な誤解を与えてしまう。
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作者名：京
| 作成日時：2021年3月21日 15時
