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勢いのあまり飛び出して来たものの、行く当てなどはなく。
身ぐるみ一つで出てきてしまったために、手元にあるのは財布と携帯と仕事道具のみ。
気付けば二駅分は歩いていたようで、このまま真っ直ぐ行けば勤務先のビルが見えてくる。
会社の近くのホテルにでも泊まろうか。
しかしこんな全身びしょ濡れの状態でフロントに入っていけば、どんな目で見られるか。
冷たい風が顔に吹き付け、ぶるっと身を震わせる。
橋を渡り、川沿いをふらつきながら歩き続けると、駅の明かりが遠くに見えてきた。
会社って泊まれるんだっけ…。
ぼんやりと止みそうにない雨に打たれながら考えていると、突然誰かに腕を引っ張られた。
「お前何してんの？」
びっくりした。
顔を上げると、おそらく帰宅途中であろうか。
同期の二宮和也がいたのだから。
「傘忘れたの？びしょ濡れじゃん」
「あ、これは…」
どうしよう。
寒さで唇が動かず、うまく言葉が紡げない。
カタカタと震える両手を隠すようにお腹の前で重ねると、カズの目線がそちらに向いたのがわかった。
即座にバッグを持つ手とは反対の手を取り、感触を確かめるように握った。
「手冷たいし、唇真っ青じゃん。ずっと外にいたの？」
「い、いいの。歩いてる、だけ」
「おい、智！」
迷惑かけたくなくてぱしゃぱしゃと水溜まりの上を走り出すも、次第に速度は緩くなっていく。
助けて、もらおうかな…。
誰かに頼らないと、きっとこの状況からは抜け出せない。
ぴたっと電池が切れたみたいに立ち止まると、すぐにカズは追いかけてきてくれた。
「何やってんだよ！スーツ汚れるだろ！」
「…だって、」
目をぎゅっと瞑って、唇を噛み締めると、みるみるうちに涙が溢れてきた。
今の俺に優しさは痛すぎる。
どうやったら止められるのだろうか。
感情をコントロールする方法も見失って、ぐちゃぐちゃに顔を濡らしたまま、わんわん泣いた。
カズが見てる前なのに、迷惑かけたくないって思ったばかりなのに。
「お前さぁ、もうちょっと後先考えて行動しろよ」
何があったか察したのだろう。
呆れたようにため息をつくも、すぐに傘をさしてくれた。
カズが言ってたこと、すべてを理解した。
だからあんなに怒ってたんだ。
それなのに俺は翔くんに乱暴したことが納得いかなくて、啖呵を切ってしまった。
でもそれには理由があった。
翔くんには黙っていたけど。
カズはずっと前から、俺に特別な感情を持っている。
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京(プロフ) - 碧央。さん» いつもありがとうございます！ここまで読んでいただけて本当に嬉しいです！最後まで更新頑張ります！(*^.^*) (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 3db66e1bf0 (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆりかさん» ありがとうございます！！潤くんは確実に絡ませる予定なので、ご期待ください！(´- `*) (2021年2月23日 8時) (レス) id: 3db66e1bf0 (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - この展開、ドキドキしてすごく好きです！更新待ってます！頑張ってください(*^^)v (2021年2月22日 2時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - 松潤も大野くんのことを気になり出してちょっかい出して欲しいです！！翔くんとにのから大野くんを奪って欲しいです！！更新待ってます^ ^ (2021年2月21日 16時) (レス) id: ce3588ab80 (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - naoさん» naoさん、ありがとうございます。今は辛い内容ですが、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。 (2021年2月19日 23時) (レス) id: 3db66e1bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月25日 0時
