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ときどき、あの香水の匂いがまとわりつくように脳を刺激する。
まるで思い出させるかのように、しつこくついて離れない。
俺はそのたびに気持ち悪いと頭を振って忘れようとする。
それなのに、夜彼から流れてくる煙草の煙がどうしても思い起こさせてきて。
抱き締められてるのに、やめて、と心の中で繰り返す。
俺にその香りを向けないで。
もう辛い思いはしたくない。
叶わぬ気持ちを秘めたまま、これでいいんだって言い聞かせて、会える日をひたすら待ち続ける。
そんな思いはもう、この長い人生の中で一度だけ経験すれば十分だ。
なのに、神様はまだ試練を与えるかのように、忘れさせてはくれない。
思い出しては不安が蘇る。
またいつかそうなるんじゃないか、裏切られては運命を引き合わせるかのように再会して。
どんな方法を取っても忘れさせてはくれない。
この世に月はただひとつ。
俺たちの目の前で輝いている、それがすべてなのだ。
荷物の整理はこれで完了。
向こうに物が結構揃っているから、電子レンジや炊飯器とか、引き取り手を探すのが結構大変だった。
運良く新卒が入ってきたからまだ家電を揃えきれていない後輩は手放しで喜んでくれた。
あとは細かい衣類等を運べば引っ越し作業は終わり。
２年前に越してきたこのマンションとも別れを告げる。
最初は駅から少し距離があるのと、坂の上にあるため都内にしては家賃が安かったのが決め手だった。
歩くことも苦ではないし、むしろ運動になってありがたいと思った。
急いでるときでも下り坂だから走れば早いし。帰り道暗くても、俺は男だから。
女の子は危ないだろうなぁと思うくらいで、特に不便だと思うことはなかった。
あっ、コンビニが坂の下にしかないのはちょっと嫌だったな。
でも住んでみると別の魅力を見つけた。
この部屋はとにかく夜景が綺麗に見えた。
なんだろう。
六本木ヒルズの最上階とか、東京タワーから見える夜景とか、そういう作られたものではなくて…
坂の上にあって、たまたま目の前が開けているから見えた、自然な都心の夜景。
独り身でいる限りは、一生このマンションから出ることはないだろうと思っていた。
それがこんな形でさよならするなんて、誰が予想できただろうか。
果たして、この選択で本当に正しかったのか。
この先もずっと今みたいでいられるとは限らないのに。
俺はひとつの可能性に賭けた。
何があろうときっと、彼についていくと。
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京(プロフ) - 碧央。さん» いつもありがとうございます！ここまで読んでいただけて本当に嬉しいです！最後まで更新頑張ります！(*^.^*) (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 3db66e1bf0 (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆりかさん» ありがとうございます！！潤くんは確実に絡ませる予定なので、ご期待ください！(´- `*) (2021年2月23日 8時) (レス) id: 3db66e1bf0 (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - この展開、ドキドキしてすごく好きです！更新待ってます！頑張ってください(*^^)v (2021年2月22日 2時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - 松潤も大野くんのことを気になり出してちょっかい出して欲しいです！！翔くんとにのから大野くんを奪って欲しいです！！更新待ってます^ ^ (2021年2月21日 16時) (レス) id: ce3588ab80 (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - naoさん» naoさん、ありがとうございます。今は辛い内容ですが、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。 (2021年2月19日 23時) (レス) id: 3db66e1bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月25日 0時
