８ ページ8
店には2時間ほど滞在して、混んできたためいったん出ることにした。
現在21時前。
帰るにはまだ早いが、あまり遅くなってもまた何を言われるかわからない。
二件目に誘おうか迷っていると、大野さんもキョロキョロしながらどうしようか悩んでいる様子だった。
「どう、する？どっか入るなら…」
「あっ、うん。どうしよっか」
さっきまで楽しく話してたのに、なんとも言えない空気。
繁華街をただ歩きながら、お互いしっくりくる言葉が見つからずにいる。
居酒屋に入ってもいいけど、確かに何かが違う。
でも、なんだろう。
レイトショーとか？いや、それだと0時回ってしまうか。
「あっ、ヘルスだって。興味あるなら付き合えるけど」
「はっ！？」
結局ふざけ半分で出てきた台詞がそれ。
だってさっきまで下ネタ話してたわけだし。
ちょっと行きたかったりするのかな、と念のため確認したかった。
「いいよ。いくらやってないからって、風俗に行くまででは…」
「だよね、よかった。好きなんだよって言われたらどうしようかと思った」
「んー…別に行く人の気持ちがわからないわけじゃないけど、俺はハマらない」
そっか。彼女いなくても、風俗は興味ないんだ。
いや俺が心配することじゃないんだけど、もし常連とかだったらいろんな意味でショックだし。
このまま時間だけが過ぎていくのはもったいない。
そう思っていると、ポケットにある携帯が震えた。
仕事用のほうで、部長からだった。
「うわっ、マジか…」
「どうかした？」
「いや、今日締め日みたいで…交通費の申請日付変わる前に出せって。あと明日の商談のことで伝え忘れたことがあるから電話もしたいって」
「うそ、じゃあ早く帰ったほうが…」
いや、だめだ。
早く帰っても妻が仕事することを許さない。
「この辺でWi-Fiがある静かなところを探せれば…すぐ終わるだろうし」
「どこ？カラオケとか？」
「カラオケってWi-Fiあるっけ…？」
「わ、わからないけど…」
大野さんは携帯でいろいろ調べ始めて、巻き込んでしまって申し訳ない思いでいっぱいだった。
「ちょっと冒険していいなら、あったけど。Wi-Fiあって、静かなところ」
「…待って。それってあそこじゃないよね」
「た、たぶんあそこ…」
いやもう、ね…その発想になるような気はちょっとだけしていた。
この辺は風俗街だし。
かといって、男二人で入れるものなのか？
ちょっとどころか、だいぶ冒険な気がするのだけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
