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最低だ…。
俺は、最低最悪の人間だ。
いったいどこに行ってしまったのか、皆目検討もつかないままひたすら走った。
外はすでに暗くなっていて、晴れ渡っていた空には暗雲が立ち込めていた。
ここから彼の家まではそう遠くない。
電車で停まる駅はないから、おそらくバスかタクシーだろうか。
死に物狂いでその方面に行く道を走り続けていると、公園のそばに差し掛かったところで、人影が見えた。
暗い夜道に同化していたが、近付くにつれ上に着ているのが黒のカーディガンだとわかった。
「、智くん！！」
顔も見ずにガッと肩を掴むと、その人物が振り向く。
冬場にも関わらず汗だくで息を切らした俺に驚いたのか、目を丸くしてこちらを見ていた。
しかしすぐに真顔に戻って、くすっと笑った。
「あら、櫻井さん。何してるの？奥さんが嫉妬しちゃうじゃない！」
「智くん…」
「お店には暇なとき来てくれればいいから！休みの日くらい家庭を優先しなさいよ！」
「智くん！！！」
も何度目かの名前を呼んで、ぐいっと腕を引き抱き寄せた。
「もう、いいから…」
ぎゅっと腕の力を強めると、無理矢理作った笑顔が消えた。
「本当に、ごめん…こんな思いさせて、どれだけあなたのこと傷付けたか、痛いほどわかってたのに。気付かない振りして…」
ごめん、と言って、肩に顔を埋めた。
俺の視界はほとんど涙で見えていない。
「俺、妻とは別れるから。だから、もう一度…いや、何度でもあなたに会いたい。会って、今度こそ、自分の気持ちに正直になりたい」
「…………」
目を閉じ素直な気持ちを伝えると、彼は両手で胸を押し返し、身体を離した。
上げたときに見えた顔は、また笑っていた。
笑っているのにどこか悲しげで、目はいたって真剣だった。
「あれ…オカマ設定だめだった？やっぱりバレちゃったかな…」
「違う。もうそんな嘘をつく必要は…」
「バレてないなら、来るなよ」
智くんの顔が一瞬歪んだのがわかった。
「奥さんと別れるから、俺と付き合おうって言いたいんだろ？言ったよね、翔くんの幸せを奪うつもりはないって。奥さんとレスなんだろ？だから俺と…」
「それも違う！！それだけであなたと会ってたわけじゃない！本当に、心の底から惹かれていたというか、」
「どんなに求めたって、翔くんはいつも同じ香り。翔くんの家に帰るんだ。それでも、会って、抱きしめてもらうだけで嬉しかった」
涙をこらえているのか、瞳が揺らいでいるのがわかった。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
