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平日真っ只中ということもあって、いつも通り終電前にはお開きになった。
部長たちはやはりというべきか、このあとも飲む気満々で繁華街へと繰り出していく。
俺もなんだか今日は疲れてしまって、タクシーで帰ろうと翔くんと共に乗り場へ向かう。
駅前には終電前だからか、少しだけ列ができていた。
そこに二人並ぶも、特に何も話さず。
本当に最後なのかな。
まだ一緒にいたいと思う反面、早く別れてしまいたいという気持ちも交差する。
せっかく忘れようとしていたところだったんだから、今すっきり別れたほうが自分たちのためだし。
翔くんも俺と目を合わせないってことは、きっと同じ考えなのだろう。
「大野さん、反対方面ですもんね」
「あっ…はい」
「じゃあ、最後の悪あがきでこれ。使ってください」
翔くんは財布から5000円札を取り出し、俺に手渡した。
「えっ！？いや、こんなのもらえません！」
「たまにはいいじゃないですか！いつも俺の方がお邪魔してたわけだし…」
「…それって、」
俺の家に来てたこと？
そんなの、今言う？
しかも、敬称なんかつけちゃって。
「そんなこと言ったら、櫻井さんだっていつも車で来てくれてたわけだし…ガソリン代含めたらあんなの、別に…」
「いやいや！それ以上に仕事とかでもめちゃくちゃお世話になったし！ちょっとはかっこつけさせてよ！」
「なんで今更俺にかっこつけるんだよ、気持ち悪いな！」
「なっ…俺は親切心で、」
その時、キッと目の前にタクシーが停まった。
どちらが乗る？みたいに顔を合わせるも、後ろにも列ができているからそんなことやってられない。
「いいから、受け取って！」
「だからそんなの…」
「なら貸しで！いいよね！？利子はつけないから！」
「ちょっ、なんで勝手に…」
ぐしゃっとジャケットのポケットに無理矢理入れると、後続のタクシーがいることを確認して、翔くんは逃げるように乗り込んだ。
俺はそれ以上何も言えないまま、すぐに次のタクシーが扉を開いた。
なんで、お金なんか。
お金で何か代償を払っていた関係だったわけじゃないのに。
でも、不思議と嫌な気はしなかった。
なんというか、あれはきっと本当に親切心で。
今日は一緒に帰れないけど、せめて何かさせてっていう、そんな彼の不器用さが最後の最後で出てしまった感じだった。
やっぱり、まだ好きだな。
少しあんなやり取りをしただけで、心が満たされてるんだもん。
タクシーから見える遠くの満月を見つめながら、そんなことを思った。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
