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今日は体調に比例して仕事もあまりうまくいかなかった。
それどころか時間が過ぎるごとに悪くなる一方。
顔面蒼白の俺を見て見かねた店長が、撤収作業はいいからさっさと帰れと言ってくれた。
着替えてバッグを持って外まで出たまではよかったんだけど。
なんだか歩くのも覚束ない。
一瞬、翔くんに助けを求めようか考えたけど、これ以上の迷惑はかけられないと思い止まった。
なら、どうする？
少し休もうか。
そう思って、壁際にへたり込んだ。
そしたらもう立ち上がれなくなって、しゃがみこんで、どうしてあんなことしてしまっただろうって後悔した。
酔っ払ってた俺が悪いのに。
まるで翔くんが悪いみたいに言って、信じてくれないことを責めてしまった。
信じないなんて当然なのに。
そもそも怒りの矛先はそこじゃなくて、連絡をしなかったこと、俺に好意を持っていたカズと二人で宿泊したこと。
わかっているのに、少しでも翔くんに会いたいと思った気持ちまで否定されたような気がして、つい言い返してしまった。
俺には彼以外ありえないのに。
眠たい目をうっすら開けながら、黒い車が目の前に止まるのを見た。
松岡さんだろうか…なんて思いながら、もうどうでもよくて、静かに目を閉じた。
次に目が覚めたときには知らない部屋の天井という、よくある話の流れ。
まさか自分がそんな目に合うなんて。
それより、ここはどこなんだろう。
広い部屋に大きなベッド、柔らかい枕。
あまりの寝心地のよさに、二度めの睡魔が襲ってきた。
携帯を開くと、23時と表示されている。
「目が覚めた？」
その声にバッと起き上がると、見渡せばドア付近に意外な人物が。
「なんで…」
准くんだった。
俺と同じクラスの、岡田准一くん。
また気づかぬうちに他の人とホテルに来てしまったとか？
いや、俺は素面だったはず。
だとしたら、どうして彼が。
「大野くんの店に行こうとしてたところだったんだけど、びっくりしたよ。店の前で倒れてるんだもん」
「誰が…？」
「大野くんが」
「俺？」
確か少し休もうと壁に寄りかかって…。
思えば学校とバイトとボイトレ続きでまともに寝ていかなかった気がする。
まさか、気絶した？
てことは、彼が助けてくれた…？
だとすると、ここは准くんの家？
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作者名：京
| 作成日時：2020年8月16日 14時
