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「えっ、今日飲み会！？」
「そうだよー。大野くんもクラスLINE入ってるよね？何もないなら参加してね！」
まだ入学して数日なのにもう飲み会か。
いや、懇親会というべきか。
正直放課後はバイトやボイトレで毎日忙しいし、５月から火曜日と木曜日に定期でステージをすることになってしまった。
いわばデビューってことだ。
今はそれの準備期間。
あまり遊んでいる時間はないのだけど、クラスLINEを通知オフにして一切見ていなかった自分が悪い。
カズは、来るのかな。
あれ以来なんとなくまた距離ができてしまって、彼に話しかけられないでいる。
もし行くのなら、仲直りできるまたとないチャンスだ。
俺は急いで松岡さんに連絡して、ボイトレを休めないか相談することにしたのだが…。
『バカかお前は！！！急に休むなんて無理に決まってるだろうが！』
「っ、で、でも…みんな参加するって」
『みんなはみんな！お前はお前だ！行きたかったら終わったあとにしろ！どうせ遅くまで飲んでんだろ？』
「どう、なんだろう…初めてだからわからないや」
ボイトレが終わるのは20時。
参加できたとしたら21時くらいからか。
それじゃ行ってもほとんどゆっくりする時間がないかもしれない。
迷っていると、松岡さんとの電話を切った後ろから声をかけられた。
「大野くんも今日来るの？」
「えっ！？あ、岡田くん…」
「准一。准でいいよ」
「准、くん…」
って、その呼び方だと潤くんと被ってしまう。
「くん付け？まあいいけど…それより今日は？俺大野くんとゆっくり話してみたい」
「あー、でも、遅れるかもしれなくて…今迷ってるところ」
「そうなんだ。まあ、無理しない方がいいよ。高校卒業したばっかの学生と飲んだって中身空っぽだろうし」
「准くんは、高校卒業したばかりじゃないの…？」
「俺？俺はだって、大学出てるから。みんなよりだいぶ上だよ」
「そうなの！？」
「言ってなかった？俺もう22だよ」
意外だった。
だからこんなに余裕のある話し方をしているんだ。
「大野くんがあそこのバーで働いたきっかけとか知りたいし。また機会があったらゆっくり話そう。この業界、面白い話たくさんあるよ」
「あ…」
不覚にも、興味を持ってしまった。
これから俺が過ごすことになるこの音楽業界。
この人なら、いろんなことを見聞きしているだろう。
俺にとって、聞いてて不安になることはあるかもしれないが、マイナスになる話ではないはずだ。
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作者名：京
| 作成日時：2020年8月16日 14時
