ボーイズワンダー【再会編】 (ページ21)

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あーもう、何で俺っていつもこんな感じなんだろう。

智くん運がないっていうか。

まあ、ただ俺が残念なだけかもしれないけど。

吐く息が真っ白になってきた頃、建物の中の売り場の前で彼らしき人物を発見した。

しかも、大きな黒人男性と一緒にいる模様。

まさか、また絡まれたりしてるんじゃ…。

突進する勢いでそこまで走っていくと、背後から向かってきた俺に気付き後ろを振り向く。

「あれ、翔くん。どこ行ってたの？」

「どこって！！それはこっちのセリフでしょうが！！！」

ゼーゼーこの寒い中息を切らす俺を特に咎めることなく、ニコニコ笑っている。

「Is he your friend?」

「あ、彼は翔くん。」

「ショウクン？Good to see you!」

「あっ…good to see you too..」

そう言ってなぜか握手を交わす。

「さっきねぇ、道聞いたら、どっから来たのってなって。そしたらね、エディはラッパーなんだって」

「エディ…」

「俺はジャズシンガーなんだよって言ったら盛り上がっちゃって」

まあ、確かに赤いキャップにダウンのストリートスタイルでラッパーぽいけど…。

「エディ、ヒーイズマイボーイフレンド」

「ワオ！！You guys dating now!?」

「いえすいえす」

「Good!!!」

わかってるのかわかってないのかよくわからないけど、ちゃんと会話が成立しているところがすごい。

「ねぇ、ツリーの前で写真撮ってもらおう？」

「あっ…うん、」

なんだか、心配して損した…っていう言い方はおかしいけど。

智くんは智くんでしっかり一人でこういうことができるわけで。

物腰柔らかい性格だからこそ、俺たちのような見知った日本人より、外国人のほうが気楽に話ができるのだろう。

ここのクリスマスツリーは噂通りとにかく大きくて、俺たち以外にもたくさんの観光客が写真を撮っていた。

まさかクリスマスにニューヨークにいるなんて…１年前の俺だったら想像もつかなかっただろうな。

「OK,show me your kiss!」

「はっ！？」

「Come on!!!」

いや、できるわけないだろ！って隣にいる智くんのほうを見ると、なんとも言えない困った笑い顔。

横を向いて上目遣いでこちらを見上げるも、周囲の目が気になってしまう。

ここでさりげなく行けたらよかったんだけど。

結局痺れを切らし、普通に隣同士で撮って終わってしまった。

智くんとエディは仲良くなって、SNSを教えてもらっていた。