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こんなに集中するのは久しぶりだった。
ドアが閉まる音にも気付かず、ずっと床に座ってテーブルの上で黙々と鉛筆を走らせる。
「…智くん？」
ハッとその声に顔を上げた。
「翔くん！おかえり」
目の前には俺を横から覗き込む翔くんが。
いつ帰ってきたのだろう。
すでに部屋着に着替えていて、隣に座り込んでいる。
「ただいま。何してるの？」
「あっ…仕事で、ポスターデザインお願いされちゃって、」
あんまり彼にこういう部分を見られたことがなくて、なんとなく恥ずかしくなり紙を素早く手に取る。
「あれ、なんで隠すの？」
「いや、まだ、やり途中だから…」
「いいじゃん。どんなのか見たい」
「…笑わない？」
「それは出来映えによるけど…きっと笑わない」
上から目線だなぁ。
やっぱ見せるのやめようかな…と思いつつも、同じことの繰り返しになりそうなので紙を差し出した。
翔くんは下書きを受け取ると、しばらく声も出さず固まっていた。
「えっ！？えっ、すごいじゃん！！智くんってこんな才能もあったの！？」
「そ、そんなに、才能ってほどじゃ…」
「いやすごいよ！！つか絵うまっ！マジかー…やっぱりあのお父さんのご子息ってだけあってすごいなぁ…」
褒めすぎじゃない？
まじまじと下書きのポスター案を見るものだから、いい加減いたたまれなくなり紙を取り上げる。
「あっ！もっと見たかったのに」
「いいでしょ！完成したら見せるよ」
「えー…でもさぁ、なんでそんな才能あるのに今まで隠してたの？」
「別に隠してたわけじゃ…ただ、自慢げに見せるのも変だし」
「俺だったらめちゃくちゃ自慢するのになぁ。画家になったほうがいいよ絶対」
翔くんは大げさだ。
俺は別に、これが才能だとも思ってないし、職業にしたいとも思ってない。
趣味の範囲だからこそ、上手く見えるんだ。
父ちゃんみたいに、本当に世界で称賛されるような作品はかけない。
「あのね、翔くん」
俺は鉛筆を置いて横を向く。
「夏休みね、バイト忙しくなりそうで…お休みの日しか翔くんといれないかもしれないの。それでもいい…？」
「それはいいけど…家計とか気にしてくれてるなら心配しなくていいからね。それで無理して智くんが倒れたら元も子もないし」
「だ、大丈夫！倒れない程度に頑張るから！その代わり…」
「その代わり？」
俺は目を泳がせながら一息置いて言った。
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京(プロフ) - 富喜田さん» そう言ってくださって嬉しいです！がんばります！！ (2020年7月12日 18時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
富喜田 - 何度もすいません。 すごく心に突き刺さりました。 大好きです！ (2020年7月10日 17時) (レス) id: cb1ca5340c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - 富喜田さん» はい、ありがとうございます！！ (2020年7月10日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
富喜田 - 面白かったです！ これからの進展楽しみにしてます。 頑張ってください。 (2020年7月8日 6時) (レス) id: cb1ca5340c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2020年7月7日 17時
