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人生には理解を得られることと、そうでないことの両方がある。
俺たちはそうでないこと、に向き合うことなく周りの優しさに甘えてここまで来た。
本来だったら男同士で付き合ってる、なんて聞いたらびっくりしてひっくり返るかもしれない。
もしかしたら両親なりに悩んだ結果の結論なのかもしれないが、それでもえらく理解がいいなと思っていた。
「智、元気でね。翔くんと仲良くね」
「うん、じゃあね、母ちゃん」
母ちゃんは泣き上戸だから、空港で見送るときもずっと泣きっぱなしで。
そんなことされるから何だか俺も泣きそうになってしまったが、俺まで泣いたら収集つかないだろうから寸でで止めておいた。
「智、」
「なに、父ちゃん？」
「本当にやっていけるのか？最初の頃は節約の仕方もわからないだろうからお金かかるぞ」
「大丈夫だよ。友達の知ってるお店でバイトも決まったし…なんとかなるよ」
そう言うと、父ちゃんはバッグから封筒を取り出した。
「これ、今までずっと家のことを手伝ってくれたのに一度もバイト代を要求してこなかったから…今更だけど、大事に使いなさい」
見ると、中には通帳とカードが入っていた。
「えっ、待って…これはなに？」
「今まで働いてきた分を換算したらそのくらいになった。少しでも足しになればいいのだが…足りなかったらまた連絡してこい」
「そんな、こんなに使えないよ…」
「誰も全部使えなんて言ってないだろ。お前の金だと言ってる。もういいか？時間ないから、行くからな」
「父ちゃん…」
手を振り搭乗口へと入っていく両親の背中は、少し小さくなっていた。
わりとさっぱりした様子の姉ちゃんを余所に、俺は急に寂しさが溢れ出した。
いろいろ、理解してくれてありがとう。
あんな両親じゃなきゃ、こんないい加減な人生、絶対に選ぶことはできない。
この通帳は、大切に大切に使わなきゃ。
できるだけ自分のお金で暮らしていけるように。
なんかのときの助けとして取っておこう。
「智ー？姉ちゃんたち帰るけど、一緒に乗っていく？」
「あっ、うん…いい？」
「いいわよ。今日から新居でしょ？姉ちゃんたちも行っていい？」
「いや、それは勘弁…」
バタン、と車のドアを閉めて、空港を後にする。
翔くんは明日から学校。
俺はバイト。
この先いったいどうなるのか、何もわからないけど、なんとかなるという思いだけは胸に留めておいた。
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京(プロフ) - 富喜田さん» そう言ってくださって嬉しいです！がんばります！！ (2020年7月12日 18時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
富喜田 - 何度もすいません。 すごく心に突き刺さりました。 大好きです！ (2020年7月10日 17時) (レス) id: cb1ca5340c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - 富喜田さん» はい、ありがとうございます！！ (2020年7月10日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
富喜田 - 面白かったです！ これからの進展楽しみにしてます。 頑張ってください。 (2020年7月8日 6時) (レス) id: cb1ca5340c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2020年7月7日 17時
