思い出 ページ15
「久しぶりね。元気してたかしら？」
ベルモットさんの前に紅茶が入ったカップを置く
『はい。そちらも元気そうですね』
それだけ答えると沈黙が続く。おかしいな、いつもなら沈黙が続いても心地よい空気だったのに。それが今は緊張が走るみたいで
意を決して顔をあげるとこちらを見てフワリと笑った
「私の家からこんなの見付けたの」
テーブルの上に広げたのは私がまだ小学生の頃の写真
「これ懐かしいわね。運動会の写真」
一枚取り上げ見せてくる
『確かこの時、お母さんとお父さん役でベルモットさんとウォッカさんが来ましたよね』
「そうそう！ウォッカなんてサングラスでガタイいいから他の子供を怖がらせちゃって」
『それならベルモットさんだってサングラスで帽子被ってたのに女優オーラ隠してなかったじゃないですか
私達だけ異常に注目されて恥ずかしかったんですからね』
他にも卒業式、入学式、文化祭、参観日
こんなに写真があったのは初めて知ったがどの写真にも兄の姿は無い
仕方ない事は小学生の頃から薄々気付いてたのかもしれない
「ジンが来れない分、写真にAの健気な姿を納めて見せてたの。そしたら普段じゃ想像出来ないぐらい優しく笑うのよ、あの人」
ベルモットさんが一枚一枚大切そうに見つめる
「どんなに忙しくても、家に帰ればお帰りって迎えてくれる人がいるのは羨ましいわ
でも、ジンはもう帰って来ないんでしょ？」
ベルモットさんは多分兄から聞いた筈
兄が私に決別を示した事
『はは...。ですね』
無理してるなんて悟られたくないから必死に笑顔を取り繕うけど、どうしても貼り付けた笑みになってしまう
重苦しい空気を破るようにしてベルモットさんが席を立ち部屋をグルッと一周見渡した
「本当、ジンも私も長い間この家にお世話になったわね」
壁に手を当てて目を閉じ、何か感じる素振りをして目をゆっくり開けた
「この家は元々ジンとAの家じゃなくて、AとAの両親三人の家なのよ
何十年も蔓延っていたわね」
初めて知った事実に目を見開く。じゃあ兄がここで暮らし始めたのも両親が関係してるのかな
「...Aは覚えてないと思うけど」
さっきの写真とは別にジャケットの内側から取り出した一枚の写真
そこに写るのは背の高い男性と優しく微笑む女性。その隣にはもう一人別の女性が写っている
眼鏡をかけていて、茶髪のロングの女性
「こっちの背が高い男性と笑ってる女性がAの両親よ」
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礼 - 感動しました…。 (2021年12月7日 15時) (
レス) @page34 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 続き書いてほしいです（泣） (2021年6月13日 0時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - やばい…気がついたら泣いてた…こんなに素晴らしい物をありがとうございます…！！ (2021年5月2日 22時) (レス) id: cf6373e776 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 続編お願いします！！！！！！！！ (2020年10月2日 20時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 感動しました泣。ジンと夢主が再会してほしいです。(ToT) (2020年6月16日 3時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンドウ | 作成日時：2018年11月10日 6時
