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モトキ「いた…」
先週と同じ時間
白い花柄のロングワンピースに
薄いピンクのカーディガンを羽織って
またそこで本を読んでいる
きっと本が大好きなんだろう
不純な動機とわかっていながら
昨日買った面白そうな本と
さっき買ったお気に入りのグミをお守り代わりに
モトキ「こんにちは」
貴「あっ、こんにちは」
俺のことを覚えてくれたみたいで
あの人同じように微笑んでくれた
貴「良かったらどうぞ」
そう言って隣を指した
モトキ「ありがとうございます、よく来るんですか?」
大丈夫、ちゃんと話せてる
結構すごいじゃん、俺
貴「はい、週末は雨が降ってなければ」
あぁ、この優しい笑顔に何人の男が虜になったんだろう
モトキ「そうなんですね、あっ、僕モトキです」
貴「Aです、モトキさんは下のお名前ですか?」
もとき、は苗字にも名前にもどちらにもあるから
モトキ「あっ、いえ、あだ名です!本名は本肝魁なんですけど」
漢字を説明すると
貴「へぇ、かっこいいお名前ですね」
お世辞とか社交辞令とかそんなことはわかってる
だけどAさんにそう言われただけで
こんなに心拍数が上がってるんだ
貴「モトキさんはお幾つですか?」
モトキ「25歳です、Aさんは?」
見た感じは年下っぽいけど
貴「27歳です」
モトキ「えぇ!?」
思わず声が出てしまった
モトキ「絶対年下だと思ってました」
これって失礼なのか?
でも若いってことだし嫌な気はしないんじゃないかな…?
貴「ふふ、お世辞でも嬉しいです」
モトキ「いやいや!お世辞じゃないです!」
そう言えば優しく笑ってお礼を言った
モトキ「…連絡先、交換してくれませんか?」
少し勇気を出して口を開くと
カバンの中からスマホを出してくれた
それに安堵してLINEを開いた
モトキ「お仕事は何されてるんですか?」
QRコードを読み取りながら質問すると
大手企業の名前とその受付をしていると教えてくれた
なるほど、確かに雰囲気あるな
貴「モトキさんは?」
モトキ「YouTuberってご存じですか?」
そう聞くと申し訳なさそうに首を振った
モトキ「Fischer'sって言うグループで活動してます」
そう言えばAさんは控えめにそれを口ずさんで
貴「帰ったら調べてみます」
そう言って笑ってくれた
浮かれ気分の俺は
まだ一緒にいたいと思ってしまうんだ
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作者名:鳴海 帆南 | 作成日時:2020年2月6日 21時