さんじゅうなな ページ37
モトキ「Aさんっ!」
酸素マスクや点滴などに繋がれたAさんは
どう見ても普通じゃなさそうだ
「もう少ししたら酸素マスクは外せますよ」
後ろからそう声をかけてきてくれたのは
若い女の先生だった
モトキ「Aさんは…大丈夫なんですか…?」
上手く言葉が出てこない
聞きたいことは沢山あるのに…
貴「も、ときくん…」
モトキ「Aさん!」
薄らと目を開くAさんの手を握る
「Aさん、貴方の脳には腫瘍があります。かなり大きくなっていて取り除くのはもう不可能です」
モトキ「えっ…?」
自分の口から漏れた間抜けな声
貴「手術は無理ってことですか…?」
Aさんの質問に先生は頷いて
「こんなに大きくなるまで気が付かないことも珍しくて…今すぐにでも入院してください。次いつ倒れてもおかしくない状態ですし、仕事を続けるのも危険です」
淡々と伝えられる事実は
恐ろしい程に冷たくて
もう凍りついてしまいそうだった
貴「私は…あとどれだけ生きられますか?」
「…もって…半年でしょう」
そんな言葉に俺は涙を流すことが出来なかった
俺の中でまだ消化が出来なくて
受け止められなかった
「必要なものをまとめて、また明日ここに来てください」
貴「分かりました…」
信じられなかった
信じたくなかった
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作者名:鳴海 帆南 | 作成日時:2020年2月6日 21時