週末だけの恋。 (ページ10)

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宮近「どうせもう電話しないでここで独りで飲むならいいじゃん。」

『知ったような口聞かないでください』

宮近「カイト、もう頼りにならないじゃん」

『え？』

宮近「電話の相手のカイト、結婚したんでしょ？もう電話しないって自分で言ってたじゃん」

『人の電話盗み聞きしないでください』

宮近「人聞きの悪いこと言うなよ。聞こえただけだから」

『…傷抉られたので責任とってください』

宮近「いいよ、何がいい？」

何がいいかって聞かれても、わかんない。

別に何も求めてないのに、イライラして口走っちゃった。

『考えておきます』

宮近「じゃあまた会ってくれるんだ」

『いや、そういうわけじゃなくて』

宮近「自分の言葉に責任持ってね、Aちゃん」

…宮近さんは私より何枚も上手。

宮近「とりあえず、金曜日の夜はここに集合」

『私が来なかったらどうするんですか？』

宮近「来るまで待ってるだけ」

『どうしてそこまでして私をここに来させたいんですか？』

宮近「俺そういう質問には答えない主義なんだよね」

肝心なことは答えてくれないの、意地悪。

宮近さんに対して怖さは少し無くなってきたのに、私のところに来る目的がわからないのはどうしても怖くて

表情から読み取ろうとしても、ポーカーフェイスで何を考えてるかわからない。

『…私、帰ります。メロンパンとクッキーご馳走様でした。』

宮近「来週も来てね。待ってるから」

電車に揺られて帰るけど、自分の服からはさっきの宮近さんが吸ってたタバコの匂いがして

名前と年齢しか素性がわからない宮近さんのことを何故かずっと考えていることに気がつく。

別に恋とかじゃなくて、ミステリアスな人なんて珍しくて気になっているだけ。