週末だけの恋。 (ページ7)

今日:24 hit、昨日:14 hit、合計:224,481 hit

7 ページ7

.

「ねぇ、１回俺の方見てよ」

『嫌です』

「気強いフリしてるけど、身体震えてるよ」

『…』

「足だって竦んで動かないんでしょ」

『…警察、呼びますよ』

「呼べば？手も震えてるけど、それでスマホ打てるならどうぞ」

『なんなんですか？』

「ん？」

『なんで、私のこと知ってるんですか？』

「教えない」

『やっぱり警察呼びます』

「徐々に相手のこと知っていく方が、面白いでしょ？」

『面白くないです。あなたのことなんて知りたくありません』

「おねーさん、冷たいね」

『当たり前です。不審者のことなんて、知りたくない』

「俺、不審者なんだ(笑)」

『自覚ないんですか？』

「ないね」

もう恐怖と緊張を超えて、呆れの気持ちがでてきた。

『…目、合わせたら帰ってくれるんですか？』

「うん、今日は帰るよ。来週もここに来てくれることが条件だけど。代償はメロンパンとメロンパンクッキー、どう？」

『分かりました。』

恐る恐る隣を見ると、カイトっていう人と目が合った。

ぱっちり二重で、少しハーフっぽい顔立ち。

先週もつけていたフープピアスが、夜の公園の街灯の光を反射してキラキラ光ってる。

所謂、イケメンだった。

女に困らなそうな、そんな感じ。

私のことを"おねーさん"なんて呼んできてるけど、きっと私よりも年上だと思う。

…私なんかに声掛けて、私の行動や好物を知っていて、何が目的なんだろう。

「嫌がってたわりにガン見してくんのな」

『…目、合わせたので早く帰ってください』

「わかったよ。じゃあまた来週ね、おねーさん。」

手に持っていたお酒をひと口飲んだら、すっかりぬるくなっていて美味しくなかった。