週末だけの恋。 (ページ42)

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宮近「ビールしかないけど」

"乾杯"と缶を当てる。

…結局逃げれなかった。

ううん、きっと宮近さんの言う通り逃げる気なんてなかった。

海人くんが好きだったはずなのに

宮近さんは不審者だったはずなのに

いつの間にか一番に頼りたい存在になって、今日だって会いたくなって電話しちゃって。

宮近「何考えてんの？」

『宮近さんのこと』

…あぁ。

私、宮近さんのこと好きなんだ。

宮近「本人が目の前にいるのに、俺の事考えてんの？」

『考えちゃダメなんですか？』

宮近「考えててもいいけど、それなら俺に思ってること全部話してくれない？」

『嫌です』

宮近「じゃあ、考えてること行動にうつしてみたら？」

『どういうことですか？』

宮近「もし好きだと思うなら、さっきみたいにキスしてよ」

『しません』

宮近「…そ」

"タバコ吸ってくる"とベランダに出た宮近さんの後ろ姿を追いかける。

だっていつも通りの猫背なのに、何故か悲しそうに見えたから。

いつの間にか肌寒い季節に変わっていたからか、ベランダでは冷たい風が吹いて少し寒い。

『あの』

宮近「なに」

『怒ってますか？』

宮近「別に」

夜空を見上げながら、タバコの煙をふーっと空に吹いた。

『タバコって、美味しいんですか？』

宮近「吸う？」

『結構です』

宮近「ふふっ、あの頃と同じ」

宮近さんはタバコを吸うと、そのままキスをしてきて

舌を入れてきた隙間から煙が入ってきて思わず蒸せた。

宮近「どう？」

『宮近さん、嫌いです』

宮近「本当は？」

隣から覗き込んでくる瞳から目を離せなくて

きっと宮近さんには、私の心の内がバレてる。

『…好きです』

宮近「ん、ありがとう」

…え、それだけ？

普通両想いなら付き合うとか何とかって話になるはずじゃないの？

私の気が早すぎるだけ？