週末だけの恋。 (ページ40)

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少しすると"着いた"とメッセージが入っていて、宮近さんを探すけど居なくて、キョロキョロしていると、路肩に停まった車から出てきたのは宮近さんで

宮近「ごめんお待たせ」

黒のウィンドブレーカーに黒のボトムス姿で、黒のキャップを被っていた。

スーツ姿以外の宮近を見るのは初めてで、いつもと違うラフな服装に少しキュンとする。

『てっきり徒歩かと思ってました』

宮近「ドライブ、したくない？」

『…したいです』

宮近「よかった。乗って」

助手席のドアを開けてくれて座ると、宮近さんはドアを閉めて運転席に乗った。

宮近さんは車をゆっくり発進させて、夜道をひたすら真っ直ぐ走らせる。

出会い方が少し変わっていただけで、松倉さんの言う通り優しい人なんだろうな。

『すいません、急に電話してしまって』

宮近「いいよ。金曜日はAちゃんのために開けてあるんだから」

"それにね"と、信号待ちで私の方を見てくる。

宮近「電話くれたの、嬉しかったよ」

『…』

宮近「なんか言えよ、恥ずかしくなるじゃん」

酔っていない時の、優しいふんわりした笑顔を見るのは初めてで落ち着かない。

『…今日、海人くんと話しました』

宮近「それで？」

『同期の関係に戻れそうです』

宮近「へぇ、良かったね」

宮近さんに海人くんの話をすると、失恋した実感が湧いてきて、鼻がツンとして涙が溢れそうになる。

宮近「泣いていいよ。俺運転してるから見てないし」

運転してるくせに鋭すぎる宮近さんに少しムカつく。

『泣かないです』

宮近「さっきから鼻水啜ってる音聞こえてくるんですけど」

『気のせいです』

強がっている私を横目に、宮近さんが停車したのは丘の上にある公園。

運転席を降りたから、もう私の事なんて呆れちゃったかななんて考えていると

助手席のドアが開いて、宮近さんが立っていた。

私がしていたシートベルトを外して、ドアから少し離れて両手を広げている。

宮近「Aちゃん、おいで」

…甘えていいってことかな。

涙の我慢も限界で、車を降りて宮近さんの胸に飛び込む。

宮近「やっぱり泣きたかったんじゃん」

『生理現象なので仕方ないです』

宮近「素直じゃないなー」

私が泣いている間、ずっと頭をポンポン撫でてくれた宮近さんは、とても温かかった。