週末だけの恋。 (ページ38)

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中村「ごめん、こいつ酔って具合悪いみたいだから送るわ」

『え？』

同期1「俺が送るよ！」

中村「お前らは無理。俺が送る」

私、別に体調なんて悪くないのに。

やっと手が離れたと思うと、掘りごたつ席から出て靴を履かされた。

海人くんは背中に乗れと言わんばかりに、私の横で背を向けて両手を後ろ向きに差し出してくる。

中村「ほら、乗って」

同期ふたりが見てるのに、何してるの？

奥さん以外の女をおんぶするとか、私が奥さんだったら絶対に嫌。

中村「わかんない？おんぶ」

『いや、別に私体調なんて』

中村「いいから、乗れ」

渋々海人くんの肩に手を添えて背中に乗る。

中村「じゃ、今日は俺のためにありがとな！また飲もう」

同期1「おう！じゃあなー」

同期2「おつかれー！」

そのままお店を出て、海人くんは駅の方に向かっていく。

中村「落ちるからちゃんと手回して」

『やだ。おろしてよ、恥ずかしい』

中村「…わかった」

薄暗い路地裏に入ってから私を背中からおろした。

中村「あいつらにあんな目で見られてんのムカつく」

『それはあの2人に怒ってよ』

中村「あいつらにはもう怒ったよ。お前愛想振り撒きすぎ」

『そんなことない』

中村「そんなことあんの。自覚してないだけ」

『海人くんだって、あんなに綺麗な奥さんいるくせに嫉妬してこないでよ』

中村「だって俺、やっぱお前のこと好きだもん」

路地裏で遠くにある街灯と月明かりに照らされる海人くんはかっこよくて惹き込まれる。

『ズルいよ』

中村「ごめん」

『ん…っ、』

謝ってからキスをしてくる。

…でも、こんなの違う。

中村「A、好き」

…海人くんとは、終わらせなきゃ。

宮近さんが言ってくれたように不倫して良い事なんて何も無い。

『…私はもう好きじゃない』

中村「え？」

『あのね、私もう海人くんのこと好きじゃないの。だから、私のことはもう構わないで』

中村「急にどうしたの。俺は好きだよ」

『海人くん、勘違いしてるよ』

中村「何を」

『海人くんはもう結婚してるんだよ？私より、ちゃんと幸せにしなきゃいけない人がいるでしょ』

中村「それは俺だってずっと考えてたからわかってるよ。でもやっぱりAが好きで」

『お願い。私これ以上海人くんといても苦しいだけなの。海人くんは私じゃなくて、今の奥さんを選んだんだから。』