週末だけの恋。 (ページ37)

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歓迎会の日。

仕事を定時で終わらせて、ビルの1階に集合してみんなで歩いて居酒屋に着いた。

…先週の金曜日、宮近さんには次の金曜日は歓迎会で公園に行けないことは話して

キスのことは、何も触れずに解散した。

同期1「中村ようこそ！あと結婚おめでとう！乾杯！」

高らかに声を上げて音頭をとった調子のいい同期に合わせてグラスを持って乾杯した。

掘りごたつ席で海人くんは私の隣に座っていて、こっちを見てくるような視線を感じるけれど、今日はまだ一言も話してない。

というか、私が目を合わせずに話しかけないでっていうオーラを放っているからかもしれないけれど。

同期が"まさか中村が結婚第一号だなんてな！"とケラケラと笑っていて、悪気はないのに、私は勝手に気まずくなって

…帰りたい。

みんないい感じに酔いが回って、同期2人は声が大きくなるしだんだん体制も崩れてきていて

海人くんの奥さんが見たいという話になって、中村くんはスマホで写真を見せた。

綺麗な女性と中村くんとのツーショットで、ふたりともとっても幸せそうな顔。

同期1「え、奥さんめちゃくちゃ綺麗じゃん！いいなー、羨ましい」

中村「お前いつもいいなって口だけじゃん(笑)」

同期2「でも、Aも可愛いよな。今彼氏いんの？」

『え？』

同期1「確かに！いないなら俺と付き合ってみる？」

『いや、それは…』

最悪。

この2人面倒くさい酔い方するタイプだ。

中村「こいつ今いい感じの奴いるからダメ」

テーブルの下で手が触れる。

海人くんの方を見ると眉間に皺を寄せていて、私が手を離そうとしたら握りしめられる。

同期2「まじ？つまんねー」

中村「つまんねぇとか言うな」

同期1「え、なに中村。すげぇ怒るじゃん」

中村「そりゃあ怒るだろ」

『ごめんねふたりとも。気にしないで？海人くん酔ってるだけだし』

中村「は？」

私の発言にもカチンと来たのか、睨んでくる海人くん。

足を軽く蹴ると、怒りが爆発しそうな顔をしながら私を見てくる。

『海人くんいいって。飲み会のノリなら上司で慣れてるし』

中村「俺が嫌なの」

感情に身を任せるタイプだから、こうなったら止められないことはわかっているけれど、ふたりにバレないように小声で話す。

海人くんは意志が強いから、私が何を言っても聞いてくれないけど。