週末だけの恋。 (ページ36)

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宮近「俺の元カノって、前話した元同期のことでいいんだよね？」

『そうです』

宮近「まぁ言っちゃうと、Aちゃんとカイトって人みたいな関係だったんだよね」

『…不倫してたってことですか？』

宮近「うん、騙されてた。あいつ、ずっと付き合ってた彼氏がいたのに、入社当時から俺たち同期にはその彼氏の話なんてしてなくて」

『知らないまま二股かけられてたって事ですか？』

宮近「そう。しかも向こうは婚約してて籍入れるだけの状態の時にね」

『…嘘』

私なんかより酷いことされてる。

私は知った状態で関係を持ったから私自身も悪いと思うけど、宮近さんの場合は何も悪くないじゃん。

宮近「気づかなかった俺も馬鹿だよな」

『そんなの、騙してた方が悪い』

宮近「俺当時付き合ってたこと誰にも言ってなくてさ。ある日同期たちがその子が結婚したって話してて、それで二股かけられてた事を知った」

『本当に宮近さんにはずっと話さずにいたんですね』

宮近「残酷だよな。そのまま向こうは結婚して寿退社して、俺はフられた。それだけ」

重い内容のはずなのに、軽く話して私を見る宮近さんは、2歳しか違わないのにとても大人に見える。

宮近「だからAちゃんには同じ目に遭ってほしくないの。状況は違えど、不倫なんて何も良い事ないんだから」

私の頭に手を乗せてポンポンとしてくる宮近さんはとても優しい目をしていて、

ドキドキしてしまっている自分に気がついて目を逸らす。

不審者だなんて思っていた頃はこんな宮近さん想像がつかなかった。

『私、宮近さんのことずっと変な人だって思ってて』

宮近「あーはいはい」

『でも最近は、その…』

宮近「ん？」

『ドキドキしちゃうっていうか、こう、気持ちが落ち着かなくて』

宮近「俺のこと、好きになっちゃった？」

そう言って私の後頭部に手を回して撫でられる。

『…わからないです』

海人くんが好きなのに、宮近さんに惹かれている気がして、考えると頭がパンクしそうになる。

今だって、ドキドキして目が合わせられなくなってる。

宮近「Aちゃん、こっち見て」

その声で顔を上げると、後頭部にあった手に引き寄せられて

『…っ、』

宮近「好きだよ」

宮近さんの唇が触れた。