週末だけの恋。 (ページ30)

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宮近「カイトの話聞いたんだから、俺の言うこと聞いてくれるよね？」

『私、それ承諾してないです』

宮近「カイトのお願いは聞くくせに」

『それは、海人くんが好きだから』

宮近「不公平だね。俺だって同じ人間なのに」

そんなこと言われたら、何も言えなくなっちゃう。

『…わかりました。なんですか？』

宮近「俺と付き合ってよ」

『それは嫌です』

宮近「なんで？」

『なんでって…別に私、宮近さんとはただの知り合いだし』

宮近「知り合い程度の男と付き合ったらダメなんて誰が言ったの？」

『誰も言ってないですけど、私がダメです』

宮近「友達だって、元々は知り合いから始まってるでしょ。大切なのはそれまでの過程じゃなくて、今後の関係性だと思わない？」

『…そんなのわかんない』

宮近「わからないんじゃなくて、わかろうとしてないの」

『だって宮近さんは、その、私の恋愛対象じゃない』

宮近「グサグサ来ることそんなにハッキリ言うんだね」

『こんな状況なら仕方ないですよね？』

宮近「押しに弱いAちゃんはどこ行っちゃったの？」

『さぁ？』

宮近「でも俺、知ってるよ」

右手で私の左頬に触れて、親指で頬を撫でられる。

『っ、離して』

宮近「Aちゃん、触られると逃げられなくなるんでしょ」

『離してください』

宮近「俺と付き合うって言ってくれるまで離さない」

『それは嫌』

宮近「じゃあ離せないね。俺の家行く？」

『嫌です』

斜め下を見て笑ったと思うと、意地悪な顔をして私を見つめてくる。

宮近「言うこと聞いてくれないなら、俺も離さないよ」

『ズルい』

宮近「頭が切れるって言ってよ」

逃げたいのに、宮近さんの言ったとおり身体が硬直して逃げられなくて

さっきよりも距離が近い宮近さんからは、タバコと微かに香水が混ざったような匂いがする。

何故かその匂いに酔っちゃいそうで、危険な香り。

『…お願い、離して』

宮近「なに泣きそうになってんの」

『だって…』

宮近「だって？」

『…なんか、ドキドキして死んじゃいそう』

宮近「Aちゃん、それは反則」

『え？』

宮近「今日は俺の負け」

触れていた手が離れて"意地悪してごめんね"なんて、頭を撫でてきて柄にもなく謝る宮近さんは少し耳が赤くなっているように見えた。