週末だけの恋。 (ページ29)

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数分後、目的の資料を見つけて帰ろうとした時に書庫の扉が開いた。

松田「おつかれ」

『…なんでいるの』

松田「俺も資料取りに来ただけ」

そう言いながら、私を外に出さないように扉の前に立ってくる。

松田「中村さんと何かあったんでしょ」

『なんでそう思うの』

松田「Aがわかりやすいから。あの研修の日からなんか変わった気がするから」

『気のせいだよ。それに別にわかってほしいなんて思ってないし、勝手に人の気持ち読まないでよ』

松田「読めちゃうんだもん、仕方ないでしょ」

『…海人くん、本当にここに異動してくるんだよね』

松田「だな」

『会いたくないな、』

松田「なんで？」

『言いたくない』

松田「不倫でもした？」

『…してない』

松田「怪しい」

『資料見つけたから私先に戻る。そこどいて』

素直に要望を聞いて横にズレてくれた元太くん。

松田「A」

『なに』

松田「言いたくないならこれ以上は聞かないけど、色々気をつけろよ」

『…うん、ありがと』

元太くんの色々は、海人くんのこと？

それとも不審者って話をした宮近さんのこと？

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『お疲れ様です』

宮近「お疲れ様。なんか暗いね、どうした？」

週末、ベンチに隣同士座っていると、宮近さんは私の顔を覗き込んで様子を伺ってくる。

『…異動してくるみたいなんです』

宮近「何の話？」

『海人くん、異動で私と同じビルに来月から勤務になるんです』

宮近「へぇ、怖いんだ？」

『だってまだ好きな気持ち消えた訳じゃないし』

宮近「じゃあまたお願いされたら抱かれるの？」

『それは…そう、かも』

宮近「不倫なんて、相手も自分も苦しむだけだよ」

『わかってます』

宮近「でも、Aちゃんは押しに弱いもんね？」

『だから怖いんです』

私は本気で悩んでいるのに、隣にいる宮近さんはなんだか楽しそうに笑っている。

宮近「Aちゃんさ、俺告白したの覚えてる？」

『…覚えてますよ。本気にはしてないですけど』

宮近「カイトのこと相談してきたら俺の言うこと聞いてって言ったのも、覚えてるよね？」