週末だけの恋。 (ページ27)

今日:10 hit、昨日:14 hit、合計:224,467 hit

27 ページ27

.

宮近「覚えてる？俺が前言ったこと」

"逃げ方、次会うまでに考えといてね"

そう言われてたけど、だって今は居酒屋だし連れ込まれなければいいだけでしょ？

宮近「逃げ方、考えた？」

『…そんなの、断り続けるしか』

宮近「俺さっき本気だって言ったよね」

『でも宮近さん酔ってるので』

宮近「酔ってるから何？」

『何を言われても本気じゃなく聞こえます』

宮近「じゃあ今度は飲んでない時に言うね」

『だったら今日は帰っていいですよね』

宮近「連絡先、交換してくれるなら」

『…わかりました』

宮近さんと話すと毎回取引みたいになる。

私が警戒しすぎなのかな？それとも宮近さんがずる賢いから？

スマホの画面に映る、宮近さんの後ろ姿がアイコンの連絡先。

友達追加して試しに猫がサメの着ぐるみを着ているスタンプを送ってみると"なにこれ、可愛いね"と笑う宮近さん。

宮近「俺、不審者から昇格した？」

『少しだけ』

宮近「よかった。カイトってやつの事で何かあったら連絡してよ。チカラになるから」

『頼るのは今日だけです』

宮近「へぇ、じゃあ今後カイトの相談してきたら俺の言うこと聞いてよ」

『嫌です』

宮近「でた、嫌です攻撃」

私が何度も嫌ですと断っているからか、宮近さんは私の発言を聞いて楽しそうにケラケラ笑う。

『馬鹿にしないでください』

宮近「Aちゃんから別の男の話聞くなんて、俺からしたら拷問だから。その分代償払ってもらわないと」

『宮近さんにはもう絶対話しませんから大丈夫です』

宮近「ふふっ、楽しみにしてるね。Aちゃん」

笑いながら伝票を持って立ち上がった宮近さんは、約束通り奢ってくれて、お店を出てから私を駅の改札前まで送ってくれた。

宮近さんの家は徒歩圏内みたいで、"また来週、公園でね"と手を振って帰って行った。

その時の表情は、初めの不審者のイメージからは全く想像できないくらい優しかった。