週末だけの恋。 (ページ20)

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『…海人くん、なんで今の人と結婚したの？前は悩んでたのに』

中村「なんでだろうな。」

『私、てっきり別れるんじゃないかって思ってた…』

中村「ひでぇな(笑)」

失礼なこと言ってるってわかってる。

『いい感じならそう言ってほしかった』

中村「なんで？」

『…傷つきたくなかったから』

中村「傷つく？」

『結婚したことだって、ちゃんと報告してほしかった』

中村「それはごめん」

ねぇ、海人くんは私の気持ちに気付いていなかったんでしょ？

だったら過去形でもいいから、気持ち伝えさせてよ。

『…私ね、海人くんのこと好きだった』

中村「…」

『好きって気づいてから、あとで何度も傷つくのが辛かった。少しでも希望を持った自分が馬鹿だったって』

中村「それ以上言わないで」

『ごめんね、困らせちゃうようなこと言って。』

中村「…いや、それ以上言われたら、結婚して制限させた気持ちブレちゃうから。」

『どういうこと？』

中村「今のAは大切な同期だってこと」

『…そうだよね』

同期、と一線を引かれる。

そりゃあそうだよね、別に過去に付き合ってた訳でもなくて、友達でもなくて、ただの会社の同期。

わかってたけど、本人に言われるってこんなに辛いんだ。

中村「あのさ、今日だけは自分の気持ちに正直になってもいい？」

『ん？』

中村「これからのAは大切な同期だけど、今までは好きだったよ」

『…え？』

中村「俺、話してた通り結婚するかずっと悩んでた。何となく、もっとしっくり来る人がいると思ったから。」

『しっくりって？』

中村「就職してAに出会って、なんでも話せる中になって楽しかった。同じ会社だからか付き合ってる相手よりも話が合うし、色々話して支え合えたでしょ？」

『…うん』

中村「将来のこと考えたらさ、甘えられるだけよりもお互い支え合える関係の方が俺は好きだなって思った。だから、結婚するのを悩んでた」

『海人くん、私馬鹿だからそんなの聞いたら勘違いしちゃうよ』

中村「勘違いじゃないよ。」

海人くんの手が、私の手に触れた。

中村「でも長く付き合ってる子に申し訳なくて。結婚して自分を制限させて、自分の気持ちは嫌でも押し殺した方がいいよなって。そう思って結婚した」

"最低な考えだって分かってるよ"と、夜空を見上げながら話す海人くんは、気の所為かどこかとても苦しそうに見えた。