週末だけの恋。 (ページ16)

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松田「このあとどうする？帰る？それとも2件目行く？」

『…私行きたいところあるんだけど、いい？』

松田「いいよ、案内して？」

元太くんを連れてきたのは、あの公園だった。

ひとりだったら、もし宮近さんがいたら断れなくなりそうで怖くて、でもやっぱりこの公園は好きで

それなら元太くんを連れてふたりで居ればいいかなんて、ズルい考え。

松田「なに？ここってそんなに特別な場所なの？」

いつものベンチに座ると、同じように隣に腰掛ける元太くん。

周りを見ても宮近さんはいないみたいで少し安心。

なんだか、ここに宮近さん以外が座るなんて新鮮で

松田「なんだよ」

元太くんの顔をまじまじと眺めてしまう。

『元太くんってさ、かっこいいよね』

松田「ありがとう」

『褒められ慣れてるところはムカつくけど』

松田「外見褒められるより、性格褒められた方が俺は嬉しいよ」

『後輩なのにいつも気にかけてくれてありがとう。頼りない先輩でごめんね』

松田「そんなのお互い様だろ。今更何気にしてんの？同い年なんだし気にすんな」

『だよね、ごめん。飲みすぎたかな…』

松田「水買ってくるよ。待ってて」

私の頭を撫でて、コンビニの方に歩いて行った元太くん。

ひとりになって、暇だからスマホをいじる。

「あの」

足元に見える、男の人の靴。

…この公園って、こんな話しかけてくる男の人出てくるようになったの？

前までこんなこと全然なかったのに。

「Aちゃん、ですか？」

自分の名前を呼ばれて顔を上げると

"人違いだったらすいません"と子犬みたいな顔の男。

『あの、どちら様ですか？』

「えーっと、俺はその、ちゃかの同僚で」

『ちゃか？』

「あの！宮近海斗の会社の同期なんですけど」

『…あ、宮近さん』

宮近さんがいなくて、宮近さんの同僚が目の前にいる。

なに？この状況。

まず宮近さんがどういう会社で働いているのかも知らないし、そんな自己紹介されてもよく分からない。