週末だけの恋。 (ページ12)

今日:3 hit、昨日:14 hit、合計:224,460 hit

12 ページ12

.

『…私、本当に帰ります』

宮近「何もしないから。ただの雨宿りだって。」

ひとつの傘をさしたまま辿り着いたのは所謂そういうホテルで、宮近さんは慣れた手つきで受付を済ませて部屋に入る。

『あの、』

宮近「シャワー浴びてくるわ」

濡れたカバンを床に置いて目の前からいなくなった。

今思えば、コンビニまで送って傘を買ってもらえば良かったのに

なんならずぶ濡れのまま帰ってもらえばよかったのに。

なんで私ここにいるんだろう。

宮近さんがシャワーを終える前に部屋から出なきゃと思っているのに、前よりも警戒心がなくなったのかよく分からないけど

きっと宮近さんは嘘はつかない人だから、何もしないって言ってくれた言葉は信じられるような気がしている。

…こんな考え、甘いのかな？

夜ご飯食べてないからお腹すいたし、雨の中帰るのもダルいし。

ただ待っているのも暇だから、部屋の中を物色してみる。

宮近「ちゃんと待っててくれたんだ。帰るかと思った」

バスローブ姿で、タオルで髪をわしゃわしゃ乾かしながら近づいてくる。

『帰るのが面倒くさくなったので』

宮近「俺ドライヤーで服乾かすから、どうせならお風呂入ってきたら？」

雨で少し濡れていてお風呂に入りたいのは事実。

でも、このシチュエーションで入るのは違う気がする。

宮近「俺今日は入ってないけど、ここジェットバスだし湯船大きいから快適だよ」

『このホテル、使い慣れてるんですね』

宮近「まぁそれなりに。いい場所あるって言ったじゃん」

それは、そういう関係の人が沢山いるっていうことだろうか。

私もその中のひとりにされちゃうのかな。

ストーカーみたいな人に捕まって、そのままそういう関係になるなんて絶対に嫌。

『…何も、しないですか？』

宮近「しないよ、多分」

『多分？』

宮近「保証はできないよ。人間、いつどうやって考えが変わるかなんてわからないんだから」

『宮近さんって面倒くさいですね』

宮近「よく言われる。それよりAちゃんもその格好のままじゃ風邪ひくよ」

宮近さんの言葉に流されちゃダメだって分かっているのに、全然引かない頑固な宮近さん。

『…わかりました。入ってきます』

宮近「はーい、ごゆっくり」