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空いたジョッキが2つ並ぶ。
菊「でもね、うちの会社が成長できたのは、やっぱりあいつの妄想のおかげなわけでさ。
今まで出してきたゲームだって、ほとんどあいつの案だったし」
あ「そうなんですか?社長も企画したりするんですね.........」
菊「今の時代、当たり前よ?部下だけが有能な会社が5年も10年もやってらんないもの。
あいつが成功したのは、奇跡なんかじゃなくて、必然だったんだって、俺は思ってるよ」
腐れ縁、なんて言ってたけれど。
そうじゃない。
この人は、本当に、心の底から社長のことを尊敬しきっていて、ここまで付いてきたんだ。
私はまだあの社長のことを尊敬できてないけれど、いつか、菊池さんと社長みたいに、
本当に信頼し合える、尊敬できる人が現れるのだろうか。
妄想じゃなくて、それは立派な夢だって言ってくれる人が、現れるのだろうか。
菊「ところでさ、しょーりのことは聞かないの?」
あ「しょーり?
..........あ、秘書の、」
菊「うん。あいつも俺らとあんまり歳変わんないんだけど.......、確かAちゃんと同い年じゃなかったかな」
あ「え、そうなんですか」
菊「うーん、ぶっちゃけ、俺もあんまりしょーりのことよく知らないんだよね。
何て言うか、謎じゃない?あいつ」
あ「わかります。めちゃくちゃ謎でした。
だってネクタイの柄、お寿司でしたよ?あんなのどこで売ってるんだろうって思いました」
菊「あははははは!何それ、めっちゃおもしろいじゃん。笑
あいつまた新しいネクタイ買ったんだ。笑」
あ「いつもあんな感じなんですか?」
菊「うん。俺バナナ柄見たことある。笑」
あ「バナナ?!」
バナナって........。
可愛いな、ちょっと。笑
菊池さん、佐藤さんのこと「しょりしょり」って呼んでたから、てっきり仲良いんだと思ってた。
菊「あいつ、よくわからないけど、俺のことあんまり好きじゃないみたい。笑」
あ「......そんな風には見えませんでした」
菊「うん、俺も最近気づいた。何か、素っ気ないんだよな」
それは誰に対してもな気がするけど。
というか社長の方が素っ気ない気がするのは私だけか?
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作者名:リンゴ | 作成日時:2017年4月19日 18時