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菊「かんぱ〜い！」
あ「........乾杯」
カラン、と音を立てるグラス。.......ではなく、ジョッキ。大。
菊「カァァァ！やっぱ最高、ビール最高！生きてて良かったぁ！」
口の周りに泡つけて言うことか。
あーほらほら、バカでかい声出すからみんなこっち見てますよ。
あ「あの、他の方たちは？」
菊「あー、ごめんねー。今ちょうど新しいゲームアプリの制作中でさ、
みんな仕事立て込んでるみたいなのよ」
あ「それは何となくわかったんですけど、菊池さん、仕事は？」
菊「俺は管理する側だから企画案の募集してる間は仕事っていう仕事ないんだよ。
いや、これも立派な仕事だな」
うんうん頷いてるけど、え、私のこと歓迎してくれてるのって仕事なの？って思っちゃうから
止めてください。
菊「で？Aちゃんはあれでしょ？俺と中島のこと気にしてんでしょ？」
あ「まぁ、はい」
いきなり名前呼びかよ、どうしたさっきまでのギリギリ紳士な菊池風磨は。
菊「あいつ、今いくつか知ってる？」
あ「え？.......えっと、結構若いですよね？」
菊「うん........俺と同い年」
あ「え.....」
私と、２つ３つしか変わらない。それって.......すごい。
菊「あいつ、まだ学生のときにビジネス始めてさ。いわゆる学生起業家ってやつ？
で、一発で成功させたわけよ」
あ「......すごい人だったんですね」
菊「うん。ただね、あいつ、妄想癖がひどくて。笑」
あ「も、妄想、癖？笑」
菊「あいつの頭ん中、会社の経営のことなんて１割もないんじゃないかな。
あと全部、妄想。笑」
その言い方だと、かなり語弊がある気がするんですが。
菊「何ていうか、現実に色んなもん求めすぎたんだろうね。
ゲームの中では恋愛マスターなのに、リアル恋愛の方は全くダメで。笑」
あ「.......へぇ。」
あ「夢見がちってことなんですかね」
菊「あーそうそう、それよく中島が言ってたわ。
『俺は妄想好きなんじゃない。夢を持ってるってだけだ』って。笑
意味不明。笑」
あ「.....あはは」
それって…………私も同じかも。
大層な夢だけたくさんあるくせに、
現実では全くダメ。
会社とは、働くとはこういうものだ、って勝手に決めつけて。
上手くいかない現実にぶつかって、他人のせいにして。
私だって、「夢を見ていただけ」なのかもしれないと思った。
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作者名：リンゴ | 作成日時：2017年4月19日 18時
