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時間はあっという間に過ぎた。
忙しくて忙しくて、家にはもう寝に帰るだけの毎日だった。
プロジェクトメンバーたちにもやや疲れが見えてきたころ、やっとゲームの完成が見えてきた。
土台となるシナリオがほぼ完成し、流れもつかめてきた。
そしてついに、キャラクターを実際にシナリオ通りに動かすシミュレーション作業に入った。
と言っても、これは１シーンずつ動かす作業だから、やっぱり先は長い。
菊「......それにしても、ありすちゃん。やるなぁ」
隣りの菊池さんが誰に言うでもなく呟いたので、私は菊池さんの方を向く。
菊池さんのデスク上の画面には、咲田さんが制作したこのゲームに登場するキャラクターのイラスト画像。
さすが、専門的に勉強しただげあるなと最初はそのくらいにしか思っていなかったが、
実際にシナリオに当てはめて動きをつけると、キャラクターの魅力が何倍にも感じられた。
私たちの誰もが、彼女の才能を感じずにはいられなかった。
中「風磨。声優のアポ、どうなった？」
上から社長の声がして、思わず見上げると、社長が階段の上から私たちを見下ろしていた。
菊「あ、ちょうど言おうと思ってたんだ。
ちょっと待って、あとでプリントして持ってくわ」
中「頼む」
ぼーっと社長のことを見ていると、ふと、目が合った。
ドキッとして、息をのむ。
社長の口が何か言いたげに動いた。
咲「健人さん！今、大丈夫ですか？ちょっとご相談したいことがあって、」
中「.......わかった。部屋に来い」
淡いピンクのワンピースをヒラヒラさせながら咲田さんが社長を追うようにして社長室に入って行った。
「...........」
菊「仕事中ですよ、Aちゃん。嫉妬しないの」
「........してません」
まぁたぁ〜と言いながら肩をツンツンしてくる菊池さん。
私だってわかってるよ。
仕事だもん、大事だもん、打ち合わせとか話し合いとか相談とか。
わかってるんだけど、
最近すごく頻繁に社長と咲田さんが２人でいるところを見るようになって、
...........なんかちょっと、
...........いつも一緒にいすぎじゃない？って。
菊「飲み行く？」
「え？」
菊「その腹にたまったストレス、俺が聞いちゃる」
「........ノーサンキューです」
菊「まぁ、そう言わずに。笑」
ニヤニヤした菊池さんを見て、余計にモヤモヤ・イライラした。
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作者名：リンゴ | 作成日時：2017年4月19日 18時
