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あ「失礼しました」
社長室を出ると、フロアが静まり返った。
下を見ると、たくさんの社員たちが、私を見ていた。
菊「Aちゃん」
あ「あ、菊池さん」
階段を下りると、近くにいた社員たちと菊池さんが私を囲んだ。
菊「何言われた?大丈夫だった?」
あ「はい」
菊「良かった、みんな心配してたんだよ」
あ「.......菊池さん、どうしよう」
菊「ん?どうした?」
あ「私......プロジェクトのメンバーに、選ばれちゃいました........」
言い終わると同時に、我慢していた涙がこぼれてしまった。
社員「マジで!?すげーじゃん、Aちゃん!」
社員「良かったじゃない、A!」
社員「大抜擢じゃん!本当にすごい!!」
周りの社員たちはみんな自分のことのように喜んでくれた。
あ「.......菊池さん?」
菊「あ、ごめん。すごすぎて言葉出なかった。笑
おめでとう、Aちゃん。良かったね」
あ「はい!!」
みんなが頭を撫でてくれたり、肩を叩いてくれたりしたから、
菊池さんが本当はどんな目をしていたのか、とか、
本当はどんな気持ちだったのか、とか、
そういえば、私に用があるって言ってたな、とか、
いつもと違う菊池さんに、気づくことができなかった。
あ「みなさん、本当にありがとうございます」
パチパチって拍手が聞こえて、
誰かが「今日は朝まで祝賀会だ〜!」なんて言い出して、
菊池さんのおかげです、ありがとうございますって言ったんだけど、みんなの声に掻き消されてしまった。
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作者名:リンゴ | 作成日時:2017年4月19日 18時