風の海桜#智:１ ページ9
とことこついてくる翔ちゃんと
よちよちついてくる潤くん。
出会って１日とは思えないくらい
彼らのことを愛おしく感じる。
翔ちゃんの手には
母ちゃんが持たせたお昼のパンの袋。
抱える姿が妙に様になっている。
「待ってよ、智くん」
小走りになっている翔ちゃん。
潤くんに至っては全力疾走だ。
あふれんばかりに詰められたパンが
落ちないように落ちないように。
そんな姿に少しにやけてしまう。
「もう、何笑ってんの。
悪いけど、潤だっこするから…」
と、パンの袋を笑って押しつけてくる。
はあはあと肩で息をする潤くんを
優しく抱き上げる。
その姿になんだか危うさを感じて
ぴったりと身を寄せてみる。
智くんーと照れる翔ちゃんに
自分でも理解不能な笑みを向ける。
「あ、そうだ、智くんって学校どこ？」
今更で悪いけど…と付け加える。
「翔ちゃんと一緒。一年年上だけ
ど留年したから同級生だね^^」
それを聞いた翔ちゃんの困り切った顔に
軽くでこぴんをお見舞いする。
「っていっても学校行くの月１だけど」
さらに顔を青くした翔ちゃんに
今度は馬場チョップをお見舞いする。
いたあっと頭を押さえようとして
潤くんを取り落としそうになる様子に
ついつい笑みが零れる。
つまりは不登校。
行きたいときに行くだけだ。
月１というのも少し危ういけど。
いつかはやめるつもりの高校だけど
なかなか楽しいところだ。
「え、なんか、悩みでもあるの…？」
本気で心配してくるのがまた笑える。
ほんと、いい子だ(笑)
少し雑草に埋もれた線路沿いを
男子高校生にしては小さな影が２つ
ぬいぐるみみたいのが１つ
暖かい陽射しが降り注ぐ。
なんか、いいかも。
ある時、一番の親友に裏切られた。
以来高校にはあまり行かなくなった。
そういやなことがある訳じゃないし
カズがいなくても平気ではある。
友達をつくるのはやめたけど。
翔ちゃん。
君となら久々に友達なるのもいいかも。
いつの間にか追い越されていて
前を歩く二つの影が振り返る。
軽く、息を吸う。
「おいらたちってさ、友達だよね」
「何言ってんの、当たり前じゃん」
目の前がひらける。
この瞬間が好きだ。
広がるのは、青い海。
同じクラスだといいな、と呟く君に
学校はいかねっつーの、と切り返す。
えへへ、と眉を下げて笑う君に
少し見とれてしまった。
海風が心地いい、春の昼下がり。
ラッキーアイテム
革ベルト
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みみ(プロフ) - 磁石真紀さん» あ、まりおねっとの方ですね^^読ませていただいてます！コメントありがとうございました。 (2013年4月1日 21時) (携帯から) (
レス) id: 2546b2daa7 (このIDを非表示/違反報告)
磁石真紀(プロフ) - 面白いです!!次の更新楽しみにまってます(*´∀｀*) (2013年4月1日 14時) (レス) id: c0864cdfbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみ | 作成日時：2013年3月22日 21時
