:６ 智side ページ16
「おおちゃ…はにゃしぇ…」
あ、背中を掴みっぱなしだった。
潤くんの整った顔が
鼻水と涙でぐしょぐしょになっている。
「あ、すまねぇ(笑)」
潤くんは落ち着かないようで
店のなかをぐるぐると回る。
こいつも病み上がりだから
あんま動かしたくねぇな。
「風邪の看病の準備、手伝わねぇか」
途端にぱあっと目を輝かせる。
そうならそうと言え、全くもう。
こっくりと深く頷き
ちょこちょこと俺の後についてきた。
翔ちゃんがブラコンなのが
よく分かる気がする。
こいつ、半端じゃなくかわいい。
「まだ、熱が上がりだしたところ
だろーからさ
今は暖かくしてやんのが一番
外は毛布で後は中からだよ」
ついてきな、と目で合図する。
昔、俺が風邪ひいたときのことだ。
父ちゃんと母ちゃんは店を建てるために
まだ忙しい頃で構ってくれなかった。
看病してくれたのは、カズだった。
真っ白な頬を真っ赤にして走ってきて
手にはレモンを持っていた。
レモンとカズのきれいな顔立ちが
妙に合っていて好きだった。
"智、ちょっと待ってろな"
バッグからはちみつを取り出して
お湯を沸かして。
レモンを切って
かわいい手でぎゅうっと絞って。
器用な手つきだったな。
父ちゃんや母ちゃんが構ってくれなくて
ひとりぼっちで寂しかった俺を
カズとはちみつレモンが
優しく暖めてくれたんだ。
翔ちゃん、寂しいだろうな。
「ほらよ
このレモンをここに搾んのが
お前の仕事。
それにはちみつ入れてさ
お湯で溶かしたら
翔ちゃんが元気になる飲み物ができる」
にっと笑いかけてやる。
潤くんもにぃっと笑い返してくる。
「１人で出来んのか？」
こくこくと頷く潤くん。
「じゃ、俺お粥つくっから
出来たら呼べよ」
「れもちゃ！」
れもちゃ？(笑)
お粥作ると言うのは
半分ほんとで半分嘘だ。
「智ー？お湯沸いたー？」
ほら、母ちゃんだよ。
俺は火の番、ってわけ。
暇だし、潤くんと鍋を交互にみる。
…。
小さな手でレモンの先っぽを
きゅっきゅっと搾ろうとする。
いやいやいや
そんなとこ押さえても出ねーから。
「潤くん、やっぱ代わろっか」
ふるふるっと首を振って
作業を続行する潤くん。
やっと絞れたレモン汁を
見事にひっくり返したり
なんだか大変だったけど。
ちょっと絞れるたびに"おおちゃ"って
いちいち見せてくる姿に
癒されてたのは事実だろうな。
ラッキーアイテム
革ベルト
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みみ(プロフ) - 磁石真紀さん» あ、まりおねっとの方ですね^^読ませていただいてます！コメントありがとうございました。 (2013年4月1日 21時) (携帯から) (
レス) id: 2546b2daa7 (このIDを非表示/違反報告)
磁石真紀(プロフ) - 面白いです!!次の更新楽しみにまってます(*´∀｀*) (2013年4月1日 14時) (レス) id: c0864cdfbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみ | 作成日時：2013年3月22日 21時
