出会いの春#翔:１ ページ2
桜が咲き誇る。
空を見上げたらピンクと水色の世界。
俺の一番好きな季節だ。
東京から新幹線で一時間。
そこからバスで二時間ちょっと。
小さな潤にはハードだったみたいで
さっき、力尽きて眠ってしまった。
温かみを感じて、ゆっくり歩く。
「ほら、起きな？」
腕の中にすっぽり収まってしまう
すやすや眠る潤をやさしめに揺する。
ぱちぱちっ、と可愛く瞬きをし
四歳児にしては綺麗な切れ長の瞳で
俺をじいっと見つめてくる。
「あれが、母さんの別荘だよ」
おっと、決して誤解はしないでね。
お気に入りのネズミちゃんの本でね
主人公のネズミちゃんが
病気で空気のいい別荘に住んでるの。
こっちは肺の病気とか何だろうけど。
潤はにこにこ笑って
"ネズミしゃんといっしょなにょー"
なんて言ってるから。
うちの母さんはどこが、と言うよりも
とにかくひどく体が弱いって訳で。
もしも別荘に住んじゃったりしたら
ハウスダストとか
アレルギーとかで大変だからね。
まだ幼い潤には恐ろしげな病院よりも
別荘って教えた方がお互いいいはず。
潤、怖がりだから。ふふ。
「まましゃん、べっしょ…？？」
不思議そうに真っ白な建物を見上げる。
その仕草の可愛らしさに頬がゆるむ。
「そうだよ^^」
再び眠ってしまった潤をなでながら
俺は辺りをきょろきょろと見渡す。
んー、ここ、どこだっけな？
もちろん、地図は持ってるよ。
でも、両手ふさがってるからね。
こんな気持ちよさそうな潤を
起こせるわけがないからさ。
とりあえず
誰かに声をかけてみることにした。
運良く、同じくらいの年齢の子が
赤色の信号機の向こうに見えてるの。
目はとってもいいからね。
俺は、青色に変わる瞬間をじっと待つ。
赤色。
赤色。
赤色。
青色。
さあ、行こうかな。
深く息を吸って歩を進める。
「えっと、すみません」
ほわっと振り向いた男の子は
びっくりするくらい可愛らしかった。
やば、や、でも、潤には負ける、から。
気を取り直して言葉をつなぐ。
「この辺りに引っ越してきた者ですが、近くにアンティークのお店がありませんか？あ、rainbowって言うんですけど。俺たちの引っ越し先がその隣なんです^^」
はっとしたようにこっちを見つめる。
優しく包み込むような瞳。
「君が翔くんかぁ」
「ほぇ？」
青色の、空の下。
青色の、出会い。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みみ(プロフ) - 磁石真紀さん» あ、まりおねっとの方ですね^^読ませていただいてます！コメントありがとうございました。 (2013年4月1日 21時) (携帯から) (
レス) id: 2546b2daa7 (このIDを非表示/違反報告)
磁石真紀(プロフ) - 面白いです!!次の更新楽しみにまってます(*´∀｀*) (2013年4月1日 14時) (レス) id: c0864cdfbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みみ | 作成日時：2013年3月22日 21時
