夕刻エフォート▼爆豪 ページ11
彼は、とても興味深い人だった。
「俺の前に立つんじゃねぇよ」
「ハッ、俺に勝てると思ってんのか？」
最初こそは、ただの不良だと思っていた。
ただ、自尊心、プライドが高いだけの、
口が悪いいじめっ子。
そう思っていた。
「上に上がりゃ関係ねぇ」
「せんせー俺が一位になる」
「一位だ…ただの一位じゃねぇ、
俺がとるのは、完膚無きまでの一位だ…！！」
「こんな一番…何の価値もねぇんだよ世間が認めても俺が認めてなきゃゴミなんだよ！！」
けれどそれは違かったらしい。
この人は、ちゃんと
他人に厳しく、自分にも厳しく。
それでいて一位を目指し続ける人。
「頑張るね、君」
正直、私には理解できなかった。
何故そこまで出来るの？
何故そこまで一位にこだわるの？
分からない、分からなかった。
「…テメェは確かに強ぇーよ」
「ただな、分からねぇうちは
テメェは俺には勝てない」
確かに一位はいいものだ。
でも、そこまでしてなろうとは
どうしても思えないんだ。
努力することが、
がむしゃらに夢を追いかけることが
段々と難しくなってきた。
君が羨ましかった。
「答えになってないよ」
「…テメェもいつかそのうち分かるんじゃねぇの」
橙色の夕日に照らされて
私の影が深く、黒く伸びた。
「焦ったってなんも変わんねぇよ」
「分かるまで、精々俺を越す気でいろや」
まだ分からないけど、
君は、私に頑張る意味をくれた。
「私も、頑張れるのかな」
「まぁ、俺を越すなんて一生無理だけどな！」
自信しか満ち溢れていない瞳。
真っ直ぐで、自分の努力と強さを信じてる。
「うん。私、君が好きだ」
「あ？…、……は…っ？！」
オレンジの夕刻のなかで、
ふたりの黒い影が交わった。
(意味分かんねぇよカス！)
(君でも分からないことあるんだ)
(死ね殺すぞ死ねっ！)
(…で、君の返事は？)
(………俺も、…す、…す…〜っっ
…死ねｯ！！！)
(あはは)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜々 - リクエストに応えて頂きありがとうございました！これからも頑張って下さい！ (2018年3月30日 17時) (
レス) id: a6396ca631 (このIDを非表示/違反報告)
透夏(プロフ) - 夜々さん» 閲覧、コメントありがとうございます！もちろんです！ご期待に添えるよう頑張りますのでよろしくお願いします…！ (2018年3月30日 14時) (レス) id: 65a261933a (このIDを非表示/違反報告)
夜々 - リクエスト出来ますか？プレゼントマイクの話をお願いしたいのですが…出来れば甘めでお願いします！ (2018年3月27日 20時) (レス) id: a6396ca631 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：透夏 | 作成日時：2018年3月27日 0時
