【一松】触らせないで ページ11
自分が、人に触られるのが怖いんだ、って気付いたのはつい最近。
別にそんなのなにもなかったつもりだったのに。
一週間前くらいに起こった、アレから。
人ごみの中で、不意に誰かが自分に触れだけで、びくっとしてしまうようになってしまった。
一番の心配は、好きな人。
片思いだと思っていたのに、この間想いが通じた。
本当にうれしかった。
そんな彼が、今日うちにくる。
うちには猫がいるからっていう理由だけど。
楽しみだった気持ちが、少しずつ不安に変わっていく。
チャイムがなり、玄関へ移動する。
扉を開ければ、待っていた相手の姿。
「一松、いらっしゃい」
「ん」
家に上がらせると、始めてきたからかきょろきょろと周りを見ていた。
他人の家が珍しいのかな、なんて考えながらお茶の準備をする。
適当に座ってていいよ、と言うと、リビングのソファに腰を掛けていた。
「…大丈夫大丈夫。怖がるな」
そう、自分に言い聞かせる。
アレとは違うんだ。一松は自分の大好きな人なんだ。
大丈夫。
「一松お待たせ！いま猫つれてくるね！」
「うん」
テーブルにお茶を置き、寝室へ向かう。
ベッドの上に、大好きな猫のハルが寝ている。
ゆっくり近付くと、耳を動かしてこちらを見た。
「ハル〜、お友達が来たからいこう？」
「みゃー」
「…ハル〜動いてよ、一松待たせちゃう」
いつもはすぐに後をつけてくるハルが、動こうとしない。
どうしよう、動かないハルを無理矢理動かすのは怖い。噛まれる。
「…ねぇ」
「っ！？いいい一松！ごっごめん！すぐ行くから！」
「そうじゃなくてさ…」
「え、」
急に聞こえた一松の声に驚いてハルのほうに視線を移した。
けれど、どうしてだろうか？
後ろにいた一松に肩を押され、顔面からベッドにダイブしてしまった。
その衝動でハルはリビングのほうに走っていった。
…なるほど！
「ありがとう一松！ハル、向こう言ったよ…だから、その…」
「なに」
「…どいてくれると、うれしいな、なんて…」
両腕を顔の前で交差させて、一松を見ないようにしてる。
いま、わたしに乗っかっているのは紛れもない一松で。
それなのにこの間のアレがフラッシュバックして、顔を見れない。
「…あのさ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1060人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミウ - 票数が555から556にしてしまった罪悪感… (2017年10月6日 23時) (
レス) id: effbfbbcb9 (このIDを非表示/違反報告)
ドS娘 - 票数がちょうど555に！？これは押していいのだろうか… (2017年9月17日 19時) (レス) id: 6ee4aa7b4e (このIDを非表示/違反報告)
蓮城桜 - トッティ少ない(´・ω・`) (2017年6月27日 15時) (レス) id: bfea0b4b67 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - めっちゃ好きです！ありがとうございます（≧∇≦） (2016年8月29日 16時) (レス) id: 3da383dd6e (このIDを非表示/違反報告)
なごみ羊 - こーゆーのもいいですね♪ (2016年3月30日 20時) (レス) id: 6171f694b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せいや
| 作成日時：2015年11月5日 0時
