今日からマ王! 妄想小説倉庫 (*ﾟ▽ﾟ)ﾉ<よん (ページ17)

今日:13 hit、昨日:5 hit、合計:17,767 hit

本日はアニシナ日和です。せかんど!　９ページ17

数分経ってもヴォルフラムは立ち上がらなかった。
むしろ、地面に腰を下ろして膝を抱え始めている。
自分の膝に顔を埋めて、ボーッとしていると、
小さな影が自分の前をゆらゆらしているのが分かった。
するとその影はヴォルフラムの前からパっと姿を消し、何処かにいなくなってしまった。

「･･･ユーリ？」

顔を上げて周りを見ても、ユーリの姿はない。
突然の事で頭が回らないが、とにかく探そうと立ち上がった
その時だった。
城の奥から白い塊がヨタヨタとこちらに向かってきているのが見える。
その塊はヴォルフラムの前で止まり、ボスン、と音を立ててヴォルフラムの上に掛けられた。

「･･これは･･･」
「･･ぼぅふ･･･だいじょうぶ･･･？」

パッと顔を上げてみれば、肩でハーハーと息をしながら心配そうに見つめてくる小さなユーリの姿があった。
その小さな姿の足元には、救急箱と思われるものがある。
小走りでヴォルフラムの前にしゃがみ、おもむろに額を触る。

「･･ユー･･･」
「ぼぅふ･･おねつ？どこかいたいいいたい？」
「え････？」
「げんきないね。･･･ぼぅふ･･･」

どうやらユーリは、ヴォルフラムが怪我や体調を悪くしているのかと思ったらしい。
小さな手からは、小さな青白い光が出る。
そんな姿で、治癒魔法をかけようとでもしているのだろうか。

「ユーリ、僕は大丈夫だ。だから、魔力を無駄に使うな」
「でもっ･･･」
「･･･？」

ヴォルフラムが首をかしげると、大きな漆黒の瞳いっぱいに涙を溜める。
その涙はポロポロと地面に落ちた。

「ゆ、ユーリ?!」
「ぼぅふっ･･げんきないからぁっ･･･、おねつかとおもったっ･･･」
「･･･ユーリ･･･」
「ぼぅふ･･、ゆーりのことおこる･･･。ぼぅふ･･ゆーりきらい･･？」
「そんなわけ無いだろう!!!」

咄嗟に声を荒げると、ユーリはまたビクリと体を小さくした。
その様子に、小さく謝罪の言葉を述べる。

「ぼぅふ･･･、ごめんねっ･･･」
「何でユーリが謝るんだ･･･」
「ぼぅふっ･･･････ごめんなさいぃ･･っ･･･」

地面に座るヴォルフラムにのしかかるように抱きつくユーリ。
小さくて細い腕が背中に回るのが分かる。
グズグズと、ヴォルフラムのおなか辺りで泣いているようだ。